今回は、日本国憲法第27条の条文穴埋め問題を解説しながら、全ての国民に与えられる「勤労の権利と義務」についてわかりやすく解説をしようと思います。
日本国憲法条文穴埋めシリーズは、試験でよく出そうな日本国憲法の条文を解説するシリーズです。
まずは問いに答えて、それから解説を読みます。さらに、発展的な内容については<発展>という項目で解説を試みます。社会科が苦手だなと思う人は<解説>まで。得意だという人は<発展>まで読んでみてください。
復習は、条文を音読し、間違えた場合は正解を覚えましょう。空欄のまま条文が読めるようになれば合格です。
日本国憲法第27条(穴埋め問題)
第二十七条
第1項 すべて国民は、勤労の( )を有し、( )を負ふ。
第2項 賃金、就業時間、休息その他の( )に関する基準は、法律でこれを定める。
第3項 ( )は、これを酷使してはならない。
日本国憲法第27条(解答)
第二十七条
第1項 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
第2項 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
第3項 児童は、これを酷使してはならない。
日本国憲法第27条(わかりやすい解説)
今回は、勤労の権利と義務について解説をしていきます!
まずは「勤労の権利」や「勤労の義務」が憲法の中でどのような位置づけになっているのかを確認してみましょう。
勤労の権利について
「勤労の権利」は、「基本的人権」の中の「社会権」の中にある権利です。
日本国憲法第27条第1項
日本国憲法第27条1項は「勤労権(きんろうけん)」について定めた条文です。「勤労」というのは、平たく言えば「働く」ということ。勤労すればお金を稼いだり生きがいを持ったりできますね。ですから、働く意思や能力があるにもかかわらず、企業で働く機会に恵まれない人がいたら国はそういう人たちに対して働けるサポートをしてあげてほしいという権利が「勤労権(きんろうけん)」です。
具体的には、国は公共職業安定所(いわゆるハローワーク)という場所を通じて職を紹介したり、失業者の失業中の生活を保障するために雇用保険を給付することを行ったりしています。
日本国憲法第27条第2項
日本国憲法第27条2項は、勤労条件に関することは法律で決めなさいとわざわざ憲法に書いてあります。勤労条件というのは企業と労働者との間で結ばれる雇用契約(こようけいやく)という契約によって決められるのですが、 企業と労働者の間というのはもちろん企業の方が立場が強いです。そうすると、企業の方に有利な条件で契約が結ばれる傾向が強くなります。企業にとっては労働者は安く長く働いてもらった方が出費も減ります。しかしこれでは労働者は酷い条件で過酷な労働をしなければならなくなるので困ってしまいます。ですから、国が法律を作って労働者をサポートしなさいよ、と憲法に書いてあるわけです。
では、具体的に会社側と労働者はどのように交渉を行うのでしょうか?日本国憲法には第28条にその基本となる考え方が記されています。
日本国憲法第27条第3項
日本国憲法第27条3項は、子どもたちにきつい労働をさせた歴史が世界中にありました。それをやめましょう!と言っているのがこの条文です。
勤労の義務について
最後に、「勤労の義務」について解説をします。これについては日本国憲法第27条1項に書いてあります。日本国憲法第27条1項は、「勤労の権利を有し、義務を負ふ。」と書いてありますから、義務も負うわけです。
「勤労の義務」というのは、国から強制労働をさせますと言うハナシではもちろんありません。仕事に励む能力がある人は自分で一生懸命仕事に励んで生活すべきだという原則を述べているだけだと解釈されています。働いていないからと言って、国から何かしら刑罰があったり罰金等があったりするわけではありません。