【憲法条文穴埋め】議院の定足数と議決数についてわかりやすくまとめてみました

日本国憲法条文シリーズ 日本国憲法穴埋め問題条文解説シリーズ
日本国憲法条文シリーズ
この記事は約7分で読めます。
スポンサーリンク

今回は、日本国憲法第55条、第56条、第57条及び第58条の条文の穴埋め問題を解きながら、「議院の定足数と議決数」についてわかりやすくまとめてみました。

憲法条文穴埋め問題解説シリーズは、試験でよく出そうな日本国憲法の条文を解説するシリーズです。

まずは問いに答えて、それから解説を読みます。さらに、発展的な内容については<発展>という項目で解説を試みます。社会科が苦手だなと思う人は<解説>まで。得意だという人は<発展>まで読んでみてください。

復習は、条文を音読し、間違えた場合は正解を覚えましょう。空欄のまま条文が読めるようになれば合格です。

スポンサーリンク

日本国憲法条文(55条、56条、57条及び58条)穴埋め問題

日本国憲法第55条条文穴埋め問題

第五十五条
 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、( )( )以上の多数による議決を必要とする。

日本国憲法第56条条文穴埋め問題 

第五十六条

  1. 両議院は、各々その( )( )以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
  2. 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、( )( )でこれを決し、可否同数のときは、( )の決するところによる。

日本国憲法第57条条文穴埋め問題 

第五十七条

  1. 両議院の会議は、公開とする。但し、( )( )以上の多数で議決したときは、( )を開くことができる。 
  2. 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。 
  3. ( )( )以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。 

日本国憲法第58条条文穴埋め問題 

第五十八条  

  1. 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
  2. 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、( )( )以上の多数による議決を必要とする。

日本国憲法条文穴埋め問題(解答)

日本国憲法第55条条文穴埋め問題の解答

第五十五条
 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員三分の二以上の多数による議決を必要とする。

日本国憲法第56条条文穴埋め問題の解答

第五十六条

  1. 両議院は、各々その総議員三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
  2. 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

日本国憲法第57条条文穴埋め問題の解答

第五十七条

  1. 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。 
  2. 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。 
  3. 出席議員五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。 

日本国憲法第58条条文穴埋め問題の解答

第五十八条  

  1. 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
  2. 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員三分の二以上の多数による議決を必要とする。
スポンサーリンク

日本国憲法条文(55条・56条・57条・58条)解説

統治機構の条文を見る際の前提

統治機構の勉強をする場合には全体像を把握しながら学習をしていきましょう。

日本型ガヴァナンスの図
日本型ガヴァナンスの図

権力分立の話をする場合、必ず上の図が頭に入っていなければなりません。「権力者」の中の話をしているのだという前提が必要です。

日本型統治のありかた「シラス政治」の解説は別のコンテンツにあるので参照してください。日本の教科書からはほぼ抹殺されていますが、とても大切な考え方です。

シラス政治とウシハク政治について

その上で、「国会」「内閣」及び「裁判所」の条文や制度を勉強する場合には、必ず「権力分立」の図を頭に置きながら、どこの機関の何の話をしているのかを全体像を見ながら勉強してください。これは「国会」「内閣」及び「裁判所」を勉強するときの地図のようなものだと思ってください。

議院においてどれぐらいの賛成があれば議事は進行するのか?

今回の日本国憲法第55条から第58条までの条文は、議院においてどれぐらいの賛成があれば議事が進行するのかというシリーズものです。

日本国憲法の国会の章の条文を見るときは、条文の主語に注目しましょう。「国会」の話をしているのか、「議院」の話をしているのか、あるいは「議員」の話をしているのか?結構重要なポイントです。今回の55条から58条は、 全部「両議院」が主語になっています。

まず注目してもらいたいのが56条です。55条から58条までの条文の中での「原則的」な規定です。1項と2項に分けて考えます。

最初に日本国憲法第56条第1項です。「両議院は、各々その総議員三分の一以上出席がなければ、議事を開き議決することができない」という部分です。もしこのハードルがなく議事が開けたらどうなってしまうでしょうか?1人の議員が議場に来て勝手に議決がなされるというトンデモナイこともあり得ます。そのようなことが国家機関で許されるはずがありません。ですから、3分の1以上の出席がないと、そもそも議会が成立しないという規定を置きました。これを定足数ていそくすうと言います。

次に、日本国憲法第56条第2項の表決数についてのハナシですが、正確に押さえてください。何の過半数なのかという部分が急所です。「出席議員過半数これを決し」とあります。総議員とは書いていない点に注意しましょう。場合によっては計算問題が出ることもありますから、きちんとあてはめができるように、みなさんがお手持ちの問題集などに問題があれば挑戦するようにしてください。

そして、賛成と反対が同じ票数だった時にはどうなるのかというと、何と「議長が決める」ということが書かれています。賛否同数の場合は議長が1人で決めるのですから、実は議長はものすごく大きな権力を持っていると言えますね。

日本国憲法第56条は議事の進行の条文を押さえるにあたって急所になる条文ですから、これをまずは間違えずに言えるようにしてください。日本国憲法第56条以外の条文は例外ですから、原則を押さえた後に例外をやるようにしましょう。優先順位を間違えないでください。

表決数事例
原則出席議員の過半数下の場合以外(56条)
例外1出席議員の3分の2以上1. 議員の資格争訟裁判により議員の議席を失わせる場合(55条)
2. 両議院で秘密会を開く(57条1項但書)
3. 両議院で議員を除名する場合(58条2項)
4. 衆議院で法律案を再議決する場合(59条2項)
例外2総議員の3分の2以上憲法改正を発議する場合(96条)
国会の表決数の横断整理

例外を見てみましょう。上の表のうち、出席議員の3分の2以上の④及び総議員の3分の2以上については、ここでは触れません。①②③について簡単にコメントします。

①と③については、国民の代表者である議員の議席を議院によって失わせたり(①資格争訟そうしょう裁判)、議院によって議員を除名したり(③)することは重要なテーマですから、通常よりも重い条件を付けていることがわかればOKです。①と③は細かく読めば分かりますが、高校入試の範囲外ですからそれ以上の深追いは入試対策としては不要です。

②については、国会は原則としてオープンでなければなりません。国会中継をNHKや各議院のサイトでネット中継をしたりできるほか、直接国会議事堂に行って会議の様子を見ることができます。ボクらの代表である国会議員がどのような議論をしているのかを確かめるためにもとても大切なことです。ですから、それをヤメて秘密会にすることは、国民にとって一大事です。そういうわけで、通常よりも重い条件を付けられています。

出席議員の3分の2以上の④及び総議員の3分の2以上についてはとても大切で、それぞれ別で取り扱います。初めて勉強する人はそういうものがあるのだなという程度で、復習でこのブログを見てくれているみなさんはどのようなものだったかを思い出してみてください。思い出してから答えを見ることが大切ですよ。

最後にもう一度言いますが、まずは日本国憲法第56条をきちんと言えるように。その後で例外を覚えるようにしてください。

 

タイトルとURLをコピーしました