今回は、日本の神話が掲載されている「古事記」や「日本書紀」の中で語られている「伊耶那岐神と伊耶那美神の神生み」についてわかりやすく解説していきます。
神様の名前を欲張って覚える必要はありません。大切な言葉については丁寧に解説しています。覚えてほしい神様については強調してあるので、そこだけ覚えてくれたらよいです。
まほろば社会科研究室の日本神話に関する記述は大雑把なものなので、くわしく「古事記」や「日本書紀」について勉強してみたいという人は、別で本を読んでみることをオススメします。
なお、このコンテンツは、竹田恒泰「現代語古事記」(学研)を参考にして作成しております。
なお、このコンテンツは下記コンテンツのお話の続きです。
伊耶那岐神と伊耶那美神が次々と神を生んでいく
伊耶那岐神(いざなぎのかみ)と伊耶那美神(いざなみのかみ)は、大八洲国(おおやしまのくに)つまり日本にお住まいになる神様を17柱、お生みになります。
- 住居に関わる神様(7柱)
- 海の神(大綿津見神(おおわたつみのかみ))や河の神など水に関わる神様(3柱)
- 風の神、木の神、山の神(大山津見神(おおやまつみのかみ))、野の神の大地に関する神様(4柱)
- 船の神、食べ物の神、火の神など生産に関わる神様(3柱)
このように様々な神様をお生みになりました。
伊耶那美神、神避(かむさ)りあそばされる
伊耶那岐神(いざなぎのかみ)と伊耶那美神とで神生みが続いているところで、悲劇が起きます。
火の神である火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)が生まれる時、伊耶那美神(いざなみのかみ)は御陰(みほと)に深刻なやけどを負わされました。御陰(みほと)というのは女性器のことです。
伊耶那美神(いざなみのかみ)は病床でお苦しみになりながらも神様を生みます。伊耶那美神(いざなみのかみ)の嘔吐物から鉱山の神、大便からは土の神、尿からは水の女神や生成の神である和久産巣日神(わくむすひのかみ)が生まれます。ちなみに、和久産巣日神(わくむすひのかみ)の子は、後に穀物の神として登場する豊宇気毘売神(とようけびのかみ)です。後に天照大御神(あまてらすおおみかみ)のお食事を司る神様になります。伊勢の神宮の中にある外宮に祭られることになります。
さて、伊耶那美神(いざなみのかみ)はどうなったのかというと、伊耶那岐神(いざなぎのかみ)の懸命な看病むなしく神避(かむさ)りあそばされました。神避るというのは神様が亡くなることを言います。
伊耶那岐神(いざなぎのかみ)は悲しみにくれて涙を流されました。伊耶那岐神(いざなぎのかみ)が流した涙からも神様が成りました。
伊耶那美神(いざなみのかみ)の亡骸は、伊耶那岐神によって比婆山(ひばのやま)に葬られました。
それにしても伊耶那岐神(いざなぎのかみ)の悲しみは募るばかりです。伊耶那岐神(いざなぎのかみ)は十拳剣(とつかのつるぎ)で伊耶那美神(いざなみのかみ)が神避りあそばされた直接的な原因を作ってしまった火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)の首を斬りました。すると、剣の先についていた血が岩に走りつくとそこから神様が成りました。岩の神、剣の神、雷の神、火の神、滝の神が成りました。この中には、「出雲の国譲り」や「神武東征」の時に登場する建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)[建御雷神(たけみかづちのかみ)] がいらっしゃいます。また、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)からもたくさんの神様が成りました。
悲しみにくれる伊耶那岐神(いざなぎのかみ)ですが、この後どのようになっていくのでしょうか?物語(神話)はまだまだ続きます。