祝日「山の日」ってどんな日なのか?をわかりやすく解説してみた

国民の祝日を考える「山の日」についてわかりやすく解説します 日本の「国民の祝日」について考えるシリーズ
「山の日」についてわかりやすく解説します
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執筆: 加代 昌広かしろ まさひろ (KÁSHIRO Masahiro)

今回は、国民の祝日の1つである「山の日」について紹介したいと思います。

先日、「海の日」についての記事をアップロードしたばかりですが、今回は「国民の祝日」としては最も新しい「山の日」を取り上げたいと思います。

「国民の祝日」とは何か?については、「国民の祝日に関する法律」の第1条に以下のように規定されています。

自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日

「国民の祝日に関する法律」の第1条

では、「山の日」は何を祝う日なのでしょうか?

これについてわかりやすく解説をします。それとともに、我が国の「山」についての知識を少しだけ深めていきたいと思います。

なお、この記事は船橋市内の小学校で校長を務めていらっしゃり、「日本が好きになる!歴史授業」の名プロデューサーの渡邉尚久先生のお話を参考に作成いたしました。

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山の日の由来と制定記念

山の日は、「日本の自然豊かな山々を讃える」ための国民の祝日です。この祝日は平成26年(西暦2014年)に制定され、平成28年(西暦2016年)から施行されました。8月11日に設定されたのは、お盆休みが近く、多くの人が夏休みを取りやすい時期であるといった理由があるようです。

「山の日」の制定には、作曲家の船村徹氏(西暦1932年-2017年)の提言が大きな役割を果たしました。船村氏は「海の日があるのに山の日がないのはおかしい」という思いから、平成20年(西暦2008年)に新聞紙上で「山の日」を提唱しました。その提言を受け、日本山岳協会をはじめとする団体が動き出し、平成22年(西暦2010年)には全国「山の日」協議会が発足しました。そして平成26年(西暦2014年)の春には国会で可決され、平成28年(西暦2016年)から正式に施行されることになったのです。

山の日の制定を記念して、特別な歌が作られました。船村徹氏が総合プロデューサーを務め、「山の日の歌」企画が実現しました。詩は一般公募され、1815通の応募の中から最優秀賞と優秀賞が選ばれました。日本コロムビアからは、加藤登紀子の歌う「山はふるさと」と走裕介の歌う「山が、笑ってら」がシングルとしてリリースされました。この歌を通じて、山の素晴らしさが広く伝えられることを期待されています。

山に関するクイズ

ここで、クイズを通じて、山についてもっと知りましょう!

日本で一番高い山について

日本で一番高い山は次のうちどれですか?
 a. 奥穂高岳
 b. 北岳
 c. 富士山

答えはc.の富士山ですね!

富士山は日本で最も高い山で、標高は3776メートルです。多くの人が登山を楽しみ、その美しい姿は日本の象徴とされています。

ちなみに、b.の北岳は日本で2番目に高い山です。山梨県の南アルプス市にあります。

3位がa.の奥穂高岳です。長野県松本市の安曇あずみのという場所にあります。

ちなみに、長野県にある富士見高原スキー場は、日本でベスト3に高い山を3山とも見ることができるのだそうです。東京や名古屋から2時間半で到着できるスキー場です。

ところで、戦前の日本で一番高い山は、現在の富士山ではありませんでした。当時の日本領土には、台湾や朝鮮半島が含まれており、その中で最も高い山がありました。

それは台湾にある新高山にいたかやまです。標高が3952メートルあるので、富士山よりも高い山です。明治27年(西暦1894年)に起こった日清戦争の後、翌明治28年に下関条約に基づいて日本が台湾を領有した際に、この山が「新高山」と名付けられました。「新しい高い山」という意味で、日本の富士山よりも高いことからこの名が付けられました。新高山は、日本統治時代の台湾において、日本の領土内で最も高い山として認識されていました。この名前は、日本が新しい領土を得たことを象徴するものであり、当時の日本人にとって誇りとなる山でした。現在は玉山ぎょくざん(Yushan、ユイシャン)と呼ばれています。

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日本の三大名山について

次の山のうち、「日本三大名山に含まれないのはどれでしょうか?
 a. 富士山
 b. 立山
 c. 鳥海山

答えは、c. 鳥海山です。鳥海山は山形県と秋田県の県境にあって、日本海に面し、標高は2236メートルあります。またの名を出羽富士とも呼ばれています。日本海の海抜0メートルから標高2236メートルの高さまで立ち上がる珍しい山なのだそうです。

では、日本の三代名山を答えることはできますか?

日本の三大名山は、富士山、立山たてやま白山はくさんです

まずは富士山を見てみましょう。富士山は静岡県と山梨県の境界に位置しています。成層火山として知られ、その美しい形は、日本の象徴として世界的に知られています。平成25年(西暦2013年)には「信仰の対象と芸術の源泉」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。

富士山は活火山であり、最後の噴火は宝永4年(西暦1707年)の宝永噴火です。その影響で東側の斜面には「宝永火口」が形成されました。富士山は四季折々の美しさを見せ、春には桜、夏には登山、秋には紅葉、冬には雪景色が楽しめます。富士山は古くから信仰の対象となっており、特に山岳信仰の一つとして知られています。富士講と呼ばれる信仰団体は、江戸時代に盛んに活動し、多くの巡礼者が山頂を目指しました。山頂には富士山本宮浅間大社があり、多くの登山者が訪れます。

次に立山について紹介しましょう。

立山は富山県の最高峰であり、日本海に面する道府県の最高峰でもあります。立山は3つの峰から成り立つ山で、一番高い峰は大汝山おおなんじやまで3015メートルあります。飛騨山脈の一部であり、その美しい自然景観と豊かな歴史から、多くの人々に愛されています。春から夏にかけては高山植物が咲き誇り、秋には美しい紅葉が見られます。また、冬にはスキーやスノーボードを楽しむことができ、四季折々の魅力を持っています。立山は古くから信仰の対象となっており、「立山信仰」として知られています。特に、立山曼荼羅という絵図が有名で、修験道の修行者たちがこの地で修行を行いました。また、立山黒部アルペンルートは、観光名所として多くの訪問者を魅了しています。

最後に白山を紹介しましょう。

白山は、石川県と岐阜県、福井県の境界に位置する標高2702メートルの山です。白山はその豊かな自然環境と生態系で知られており、多くの動植物が生息しています。特に、春から夏にかけてはさまざまな高山植物が花を咲かせ、秋には美しい紅葉が見られます。また、冬季には雪に覆われ、スキーやスノーボードのスポットとしても人気です。また、白山は古くから信仰の対象となっており、白山信仰は奈良時代に始まったとされています。白山比咩神社しらやまひめじんじゃは、この地域の主祭神である白山比咩大神を祀る神社で、多くの参拝者が訪れます。

これらの山は、歴史的にも文化的にも重要な山として知られています。

日本で最も多くの人が登る山はどれですか?

日本で最も多くの人が登る山はどれですか?
 a. 高尾山
 b. 富士山
 c. 八ヶ岳

答えは、a. 高尾山です。

高尾山は東京都にあり、都心からのアクセスが良いため年間を通じて多くの登山者が訪れます。四季折々の自然が楽しめる山です。

日本の国土の約何パーセントが山地ですか?

日本の国土の約何パーセントが山地ですか?
 a. 55%
 b. 75%
 c. 95%

答えは、b. 75%です。国土地理院のウェブサイトに掲載されている情報によると、「日本列島の地形は起伏に富み、火山地・丘陵を含む山地の面積は国土の約75%を占めている」のだそうです。ちなみに、この知識は、調べてみると、宅地建物取引士(宅建)の過去問にも出題実績があるそうです。

正誤判定をしなさい。
国土を山地と平地に大別すると、山地の占める比率は、国土面積の約75%である。

平成25年(2013年)問49肢1より

もちろん正しい選択肢です。中学入試や高校入試でもよく出題される数値なので記憶しておくといいでしょう。

日本神話における「山」の重要性

日本は神話から続く国であり、その神話においても「山」は重要な存在とされています。

天照大御神の孫である邇邇芸命ににぎのみことが地上に降り立って(これを「天孫降臨てんそんこうりん」と言います)最初に出会ったのが、木花開耶姫このはなのさくやびめです。木花開耶姫の父は山の神である大山津見神おおやまつみのかみとおっしゃいます。

これは、天照大御神の直系の血筋の神様が地上に降り立ってから最初に親戚になったのが「山の神」の血筋の神様と親戚になったことを意味します。つまり、神話の時代から、「山」は神聖な力を持つ存在として尊重されてきました

邇邇芸命と木花開耶姫の話は大変興味深いストーリーが展開されるので、リンク先にくわしいお話を載せています。よろしければご覧ください。

皇太子殿下(現天皇陛下)のおことば

平成28年(2016年)の第1回「山の日」記念全国大会での現天皇陛下(当時は皇太子殿下)のおことばを紹介します。

「山の日」は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨に、平成26年(2014年)に国民の祝日として制定されました。制定に尽力された多くの皆さんに心から敬意を表します。また、記念すべき第1回の全国大会が、山岳観光地として名高いここ長野県松本市上高地で開催されることは「山の日」の制定趣旨を表現するにふさわしく、大変意義深いことと思います。
私も昭和42年(1967年)に両親と共にこの地を訪れ、穂高連峰の雄大な景色に魅了され、そこから流れ出る梓川の清流に心を癒されたことが、懐かしく思い出されます。我が国は国土の約7割を山地が占めており、私たち日本人は、古くから山に畏敬の念を抱き、森林の恵みに感謝し、自然と共に生きてきました。
次代を担う子どもたちに山の素晴らしさや厳しさ、山の恩恵への感謝の気持ちなどをしっかり引き継いでいくことが大切であり、「山の日」が、明るく豊かな「山の未来」を創造する第1歩となることを願っています。

「山の日マガジン2018」

山の日の過ごし方

山の日には、多くのイベントやアクティビティが全国各地で開催されます。一例を紹介しましょう。

山の日を記念した「登山イベント」が開催されます。初心者から上級者まで楽しめる登山イベントが企画され、山岳ガイドによる案内や自然観察ツアーが行われます。登山は運動にもなりますし自然を楽しむことができる一方、危険も多いです。マナーを守って安全に登山をするようにしなければなりません。

山といったら森林浴を連想する人も多いでしょう。実際にこの時期にはキャンプなどの自然を満喫できるプログラムが各地で用意されています。

この時期に長野県などはいかがでしょうか?キャンプ場があったりして、朝晩もすごく過ごしやすく自然に溢れています。


おわりに

山の日は、自然と共に生きる日本の文化を象徴する祝日です。

この日を通じて、自然の素晴らしさを再認識し、環境保護の意識を高めることが大切です。山の日をきっかけに、自然とのふれあいを楽しみ、健康で豊かな生活を送りましょう。

また、神話の時代から続く「山」との関わりを見直し、山の神様に感謝の気持ちを表すことも忘れずに、未来へとその恩恵を引き継いでいくことが重要です。

参考文献

KÁSHIRO Masahiro [加代 昌広]

日本まほろば社会科研究室客員研究員
ブロガー、インスタグラマー、日本スペイン法研究会会員
 
法学の専門知識を活かし、日本とスペインの法制度について深く研究しています。日本スペイン法研究会の一員として「現代スペイン法入門」(嵯峨野書院)や「Introducción al Derecho Japonés actual」(Editorial Thomson Reuters – Aranzadi)の一部を執筆しました。

また、日本まほろば社会科研究室」内で、小中高校生向けの社会科教育に役立つ数多くのコンテンツの制作に協力し、自らもコンテンツの執筆を行っています(コンテンツはリンクをクリック)。

自身のさまざまな経験から得た「学びの楽しさ」を、日本まほろば社会科研究室からアップロードされるコンテンツを通じて共に学びを共有する皆さまに向けて伝えることを使命としています。

X JAPANやThe Last RockstarsのリーダーであるYOSHIKIさんの熱心なファンでもあります。

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