「ポツダム宣言」第13項を英語から和訳してみました!

ポツダム宣言現代語訳をしてみました 「ポツダム宣言」全文試訳
ポツダム宣言現代語訳をしてみました
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執筆 & 訳: 加代 昌広かしろ まさひろ(KÁSHIRO Masahiro)

ポツダム宣言の全文の内容を和訳してみるシリーズです。

今回はポツダム宣言の第13項を和訳してみます。構成は、英文、公式邦訳、試訳とその解説の順になっています。

なお、ポツダム宣言が作成された背景については、「ポツダム宣言の全文をわかりやすく解説してみました」というコンテンツでくわしく解説しましたので、そちらをご覧下さい。

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英文

(13) We call upon the government of Japan to proclaim now the unconditional surrender of all Japanese armed forces, and to provide proper and adequate assurances of their good faith in such action. The alternative for Japan is prompt and utter destruction.

公式邦訳

十三、吾等ハ日本国政府カ直ニ全日本国軍隊ノ無条件降伏ヲ宣言シ且右行動ニ於ケル同政府ノ誠意ニ付適当且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ対シ要求ス
右以外ノ日本国ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトス

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解説

1文目: We call upon the government of Japan to proclaim now the unconditional surrender of all Japanese armed forces, and to provide proper and adequate assurances of their good faith in such action.

いきなりイディオムですが、call upon A to Vは「AにVすることを要求する」と訳します。

to proclaim now the unconditional surrender of all Japanese armed forcesとto provide proper and adequate assurances of their good faith in such actionという2つの不定詞がandで結ばれています。the government of Japanつまり日本政府に対しての要求事項は2つあると言っています。

ではまず1つ目。to proclaim now the unconditional surrender of all Japanese armed forcesの部分ですが、proclaimは「~を宣言する」という他動詞です。大学受験用の英単語帳には載っているものもあれば載っていないものもあるという少しだけ難しい単語です。unconditional surrenderは「無条件降伏」という意味です。of all Japanese armed forcesは「日本軍の」という意味。ですから、1つ目の要求事項は、「日本政府に対して日本軍の無条件降伏を今ここに宣言すること」です。

2つ目の要求事項、to provide proper and adequate assurances of their good faith in such actionを見てみましょう。proper and adequate assurancesで「適切かつ十分な保証」という意味、ただこれでは「何の保証か」が分からないのでそれがof以下で説明されています。their good faith in such actionは「そのような(無条件降伏に至る)行動における誠意」という訳になります。まとめると、2つ目の要求事項は「日本政府に対して無条件降伏に至る行動における誠意について適切かつ十分な保証を提供すること」です。

まとめると以下のようになります。

私たちは日本政府に対して、日本軍の無条件降伏を今ここに宣言すること及び無条件降伏に至る行動における誠意について適切かつ十分な保証を提供することを要求します。

連合国は「日本軍」への無条件降伏を要求したのであり、「日本政府」に対して無条件降伏を要求したわけではないと読み取ることができます。ただ、日本軍の無条件降伏は国防の手段を放棄することに繋がり、実質的に日本に対する無条件降伏を迫っているのではないかという見方もできます。

2文目: The alternative for Japan is prompt and utter destruction.

theというのは前の文の内容を指します。alternativeは大学入試でもよく用いられる単語です。alternativeという言葉は、ラテン語から来ています。最初にラテン語の「alter」という単語があり、これは「他の」という意味です。次に、「alter」から派生した「alternare」という言葉が登場して、これは「交互にする」という意味です。その後、中世ラテン語で「alternativus」という形容詞が使われるようになりました。この「alternativus」は「交互の」や「もう一つの」という意味を持っていました。この言葉がフランス語に取り入れられ、「alternatif」という形容詞になりました。そして、14世紀ごろにフランス語から英語に取り入れられて、「alternative」という単語が使われるようになりました。

したがって、この文の主語の部分は「前の文の内容と「他の選択」をすることは」という訳になります。

前の文の内容とは、

  1. 日本政府に対して日本軍の無条件降伏を今ここに宣言すること
  2. 日本政府に対して無条件降伏に至る行動における誠意について適切かつ十分な保証を提供すること

という内容でした。

この2つの内容をちゃんと履行しないとどうなるのか?というと、それが”is prompt and utter destruction”です。そのまま訳すと、「迅速かつ徹底的な破壊」という意味になります。

直訳をすれば

「日本にとってのもう1つの選択肢とは、迅速かつ徹底的な破壊を意味します。」

という意味になりますが、もう少しわかりやすい日本語にすると以下のようになります。

そうしない場合、日本は迅速かつ完全に破壊されるという選択肢しかありません。

the alternativeの内容を文意を崩さずに分かりやすく丁寧に訳し、「日本(for Japan)」を主語っぽく訳しました。

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まとめ – 「ポツダム宣言」第13項試訳

それでは訳をまとめてみましょう。

私たちは日本政府に対して、日本軍の無条件降伏を今ここに宣言すること及び無条件降伏に至る行動における誠意について適切かつ十分な保証を提供することを要求します。そうしない場合、日本は迅速かつ完全に破壊されるという選択肢しかありません。

これでおしまいです。

「ポツダム宣言」が出された背景については、以下のコンテンツが有益です。

KÁSHIRO Masahiro

日本まほろば社会科研究室客員研究員
日本スペイン法研究会会員
ブロガー、インスタグラマー、音楽家、授業をしない大手学習塾の校舎長
 
共著(日本スペイン法研究会の一員として)で、「現代スペイン法入門」(嵯峨野書院)と「Introducción al Derecho Japonés actual」(Editorial Thomson Reuters – Aranzadi)の一部を執筆。他にも、日本まほろば社会科研究室サイト内で、小学校や中学校や高校での社会科教育で役立つ多くのコンテンツを執筆(コンテンツはリンク先を参照)。
 
X JAPANやThe Last Rockstarsのリーダーとして活躍されているYOSHIKIさんのファンでもある。

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