「ポツダム宣言」第7項の内容を和訳&解説してみました

ポツダム宣言現代語訳をしてみました 「ポツダム宣言」全文試訳
ポツダム宣言現代語訳をしてみました
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執筆 & 訳: 加代 昌広かしろ まさひろ (KÁSHIRO Masahiro)

ポツダム宣言の全文の内容を和訳してみるシリーズです。

今回はポツダム宣言の第7項を和訳してみます。構成は、英文、公式邦訳、試訳とその解説の順になっています。

なお、ポツダム宣言が作成された背景については、「ポツダム宣言の全文をわかりやすく解説してみました」というコンテンツでくわしく解説しましたので、そちらをご覧下さい。

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英文

(7) Until such a new order is established and until there is convincing proof that Japan’s war-making power is destroyed, points in Japanese territory to be designated by the Allies shall be occupied to secure the achievement of the basic objectives we are here setting forth.

公式邦訳

七、右ノ如キ新秩序カ建設セラレ且日本国ノ戦争遂行能力カ破砕セラレタルコトノ確証アルニ至ルマテハ聯合国ノ指定スヘキ日本国領域内ノ諸地点ハ吾等ノ茲ニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スルタメ占領セラルヘシ

解説

ポツダム宣言第7項は1文だけで構成されていますが、1文がとても長いです。

したがって、1文を分けて解説を行おうと思います。

Until such a new order is established and until there is convincing proof that Japan’s war-making power is destroyed,

まずは、”Until such a new order is established and until there is convincing proof that Japan’s war-making power is destroyed,”までを訳読していきましょう。

Untilという接続詞から文が始まっています。接続詞を見たら、接続詞が及ぼす範囲を確定させなければなりません。途中でandがあります。つまり、Untilの内容が2つあることが分かると思います。

1つ目のUntilから…。such a new order is establishedで「そのような新しい秩序が確立されるまで」と訳せばOKでしょう。

次にもう1つのUntilを見ていきます。convinceはもともとは「確信させる」という動詞です。これにingが付いて文法的には分詞として使われていますが、さらに形容詞化して「説得力のある」という意味で使われることがあります。there is convincing proofで「説得力のある証明がある」と言っています。どんな証明なのかがthat以下に書かれています。このthatは後ろが完全文で終わっているので、同格のthatです。Japan’s war-making powerは、公式邦訳にしたがって、「日本の戦争の遂行能力」と訳すのが一番しっくりくると思います。Japan’s war-making power is destroyedで、「日本の戦争遂行能力は破壊された」となります。まとめると、「日本の戦争遂行能力は破壊されたという確証があるまでは」と訳するとよいと思います。

まとめると、「そのような新しい秩序が確立され、日本の戦争遂行能力が破壊されたという確証があるまでは」という訳になります。

points in Japanese territory to be designated by the Allies shall be occupied to secure the achievement of the basic objectives we are here setting forth.

続きを進めていきましょう。

さて、この文の主語ですが、points in Japanese territory to be designated by the Alliesです。designateは、「指名する」とか「指定する」と訳します。ちなみに、designという単語と語源は同じなのだそうです。「連合国軍によって指定された日本の領土における諸地点は」という意味になります。

shall be occupiedで「占領されなければならないとする」と訳します。shallは聖書や法律の条文にはよく使われる助動詞なのですが、もともとある「強い意志」というところから「命令」や「義務」といった意味を持たせる場合に使います。

次のto secure the achievement of the basic objectives we are here setting forthについて。secureは「~を確保する」という動詞。the achievement of the basic objectivesで「基本的な目的の達成」という意味。どんなthe basic objectivesなのかというと、関係代名詞whichの省略があって次のwe are here setting forthという文で説明がされています。set forthは「~を定める」というイディオムです。「前にポンと置く」という語感からこのような意味になっているようです。このカタマリをつなげると、「私たちがここで定める基本的な目的の達成を確保するために」という意味になります。

主語も含めて主節を訳すと、「連合国軍によって指定された日本の領土における諸地点は、私たちがここで定める基本的な目的の達成を確保するために占領されなければならないものとします。」となります。

まとめ  – ポツダム宣言第7項試訳

全部つなげると、以下のようになります。

そのような新しい秩序が確立されるまで、かつ日本の戦争遂行能力がなくなったという確証があるまでは、連合国軍によって指定された日本の領土における諸地点は、私たちがここで定める基本的な目的の達成を確保するために占領されなければならないものとします。

「そのような新秩序」というのは具体的に何を指しているかというと、前の第6項の「平和、安全及び正義という新秩序」を指しています。

次は第8項の解説に進めたいと思います。

ポツダム宣言の第8項を自分なりに英文解釈して訳してみました。
KÁSHIRO Masahiro [加代 昌広]

日本まほろば社会科研究室客員研究員
ブロガー、インスタグラマー、日本スペイン法研究会会員
 
法学の専門知識を活かし、日本とスペインの法制度について深く研究しています。日本スペイン法研究会の一員として「現代スペイン法入門」(嵯峨野書院)や「Introducción al Derecho Japonés actual」(Editorial Thomson Reuters – Aranzadi)の一部を執筆しました。

また、日本まほろば社会科研究室」内で、小中高校生向けの社会科教育に役立つ数多くのコンテンツの制作に協力し、自らもコンテンツの執筆を行っています(コンテンツはリンクをクリック)。

自身のさまざまな経験から得た「学びの楽しさ」を、日本まほろば社会科研究室からアップロードされるコンテンツを通じて共に学びを共有する皆さまに向けて伝えることを使命としています。

X JAPANやThe Last RockstarsのリーダーであるYOSHIKIさんの熱心なファンでもあります。

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