テスト対策の歴史の勉強は年号を覚えたり歴史用語を覚えたりすることが中心です。試験で点数をとるためには必要な勉強ですが、皆さんのスマートフォンの中に入っている電話帳の電話番号を五十音順に覚えることは簡単ではないのと同じように、こればっかりやっていると歴史の勉強が面白くなくなります。
楽しく勉強しないと試験的にも覚えられないし、楽しくなければ勉強そのものを続けていくことはできません。
では、「どうやったら楽しくなるのか?」と言ったら、おそらく自分のことだったら楽しくなるはずだし、ちょっと関心を持てるかもしれません。他人のストーリーよりも自分を取り巻くストーリーであれば関心が持てると思います。
歴史は英語でhistory(ヒストリー)と言いますよね。ストーリーなんですよ。過去から現在の自分まで行き着くものすごい膨大なストーリーなんです。
前置きが長くなりましたが、今回はボクたちのご先祖様がどれぐらいいるのか?という点に注目しながら、現在のボクたちにつながるストーリーを見ていきましょう!
ボクらのご先祖様は何人いるの?
ボクらのご先祖様って何人いるのか?を考えていきます。
ボクたちはどうやって生まれてきているのかというと、お父さんとお母さんがいなければ生まれてきていないはずです。今の自分はお父さんとお母さんが必要なので、少なくとも2人の人間が必要だということになりますね。
ではお父さんやお母さんはどうやって生まれたのか?というと、そのまたお父さんとお母さん。キミたちから見たらおじいちゃんやおばあちゃんということになりますね。ではおじいちゃんやおばあちゃんは何人いるのかと言ったら4人ですね。
じゃぁ今度はおじいちゃんとおばあちゃんは誰から生まれたのかと言ったら、そのまたお父さんとお母さん…。4人のおじいちゃんとおばあちゃんには両親がいますから8人…。これを続けていくと、ご先祖様の人数は下のような表になっていきます。1世代は30年です。なので、これを基準に計算すると、だいたいどの時代に自分のご先祖様が何人いるのかが分かります。
時代 | 西暦 | ご先祖様の人数 | |
令和 | 2020年 | 1 | |
1世代前 | 平成 | 1990年 | 2 |
2世代前 | 昭和 | 1960年 | 4 |
3世代前 | 昭和 | 1930年 | 8 |
4世代前 | 明治 | 1900年 | 16 |
5世代前 | 明治 | 1870年 | 32 |
6世代前 | 江戸 | 1840年 | 64 |
7世代前 | 江戸 | 1810年 | 128 |
8世代前 | 江戸 | 1780年 | 256 |
9世代前 | 江戸 | 1750年 | 512 |
10世代前 | 江戸 | 1720年 | 1,024 |
11世代前 | 江戸 | 1690年 | 2,048 |
12世代前 | 江戸 | 1660年 | 4,096 |
13世代前 | 江戸 | 1630年 | 8,192 |
14世代前 | 安土桃山 | 1600年 | 16,384 |
15世代前 | 室町 | 1570年 | 32,768 |
16世代前 | 室町 | 1540年 | 65,536 |
17世代前 | 室町 | 1510年 | 131,072 |
18世代前 | 室町 | 1480年 | 262,144 |
19世代前 | 室町 | 1450年 | 524,288 |
20世代前 | 室町 | 1420年 | 1,048,576 |
21世代前 | 室町 | 1390年 | 2,097,152 |
22世代前 | 室町 | 1360年 | 4,194,304 |
23世代前 | 鎌倉 | 1330年 | 8,388,608 |
24世代前 | 鎌倉 | 1300年 | 16,777,216 |
25世代前 | 鎌倉 | 1270年 | 33,554,432 |
26世代前 | 鎌倉 | 1240年 | 67,108,864 |
27世代前 | 鎌倉 | 1210年 | 134,217,728 |
28世代前 | 平安 | 1180年 | 268,435,456 |
29世代前 | 平安 | 1150年 | 536,870,912 |
30世代前 | 平安 | 1120年 | 1,073,741,824 |
31世代前 | 平安 | 1090年 | 2,147,483,648 |
32世代前 | 平安 | 1060年 | 4,294,967,296 |
33世代前 | 平安 | 1030年 | 8,589,934,592 |
34世代前 | 平安 | 1000年 | 17,179,869,184 |
35世代前 | 平安 | 970年 | 34,359,738,368 |
36世代前 | 平安 | 940年 | 68,719,476,736 |
37世代前 | 平安 | 910年 | 137,438,953,472 |
38世代前 | 平安 | 880年 | 274,877,906,944 |
39世代前 | 平安 | 850年 | 549,755,813,888 |
40世代前 | 平安 | 820年 | 1,099,511,627,776 |
41世代前 | 平安 | 790年 | 2,199,023,255,552 |
42世代前 | 奈良 | 760年 | 4,398,046,511,104 |
43世代前 | 奈良 | 730年 | 8,796,093,022,208 |
44世代前 | 飛鳥 | 700年 | 17,592,186,044,416 |
45世代前 | 飛鳥 | 670年 | 35,184,372,088,832 |
46世代前 | 飛鳥 | 640年 | 70,368,744,177,664 |
47世代前 | 飛鳥 | 610年 | 140,737,488,355,328 |
こんな感じで倍々ゲームでご先祖様の人数は増えていきます。織田信長が活躍していた戦国時代から安土桃山時代にキミの先祖は32,768人いるということになります。聖徳太子が生きていた頃となると、140,737,488,355,328人のご先祖様がいることになる…。分かると思うのですが、140,737,488,355,328人のご先祖様のうち1人でも欠けたら今の自分はココにいなかったということなんですね。
そして自分もまた誰かの先祖になっていく…
ボクたちはこうやって命のバトンを受け継いでいるのです。キミのクラスメイトもお友だちもみんな同じように命のバトンを受け継いでいるのです。存在自体が尊いのです。だから自分もお友だちも大切にしなくちゃいけないんだよね。
こうやって考えると、昔の方が人口が多かったの?
と感じる人もいると思うので答えを言っておくと、そうではありません。
内閣府が出した「平成16年版 少子化社会白書」を引用すると、以下の内容が書かれています。
縄文時代には約10万人~約26万人であり、弥生時代には約60万人であった。奈良時代には約450万人、平安時代(西暦900年)には約550万人となり、慶長時代(西暦1600年)には約1,220万人となった。江戸時代には17世紀に人口が増加し、18世紀には停滞して、おおむね3,100万人から3,300万人台で推移した。
「平成16年版 少子化社会白書」第1部 少子社会の到来とその影響 / 第1章 少子化の現状はどのようになっているのか / 第1節 日本の人口の変化より https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2004/html_h/index.html
奈良時代にいた自分のご先祖様の人数が8兆7960億9302万2208人に対して、内閣府の資料を見ると奈良時代の人口は実際には約450万人です。どっちも正しい数字なのですが矛盾があるわけです。
なのにどうしてこんなことが起こっているのかというと、ボクたちのご先祖様のほとんどが重なっているのです。だから、隣にいるお友だちとはずっと昔のご先祖さまと実は親戚だった!?ということだってあり得ますよね!
国づくりだってバトンを受け継いでいる
これはもうちょっと大きな視点に立ったときも同じようなことが言えるのです。
みなさんが日本の中で暮らしていけるのは、ご先祖様が育ててくれたからなんです。自分のお父さんやお母さんがしっかりと働いてくれたからこそ、問題はいろいろあるにしても、今の私たちがあるのです。
先ほどご先祖様の人数について書きましたが、1人でも欠けていたら自分は存在しません。だとすれば、戦争などで国が滅ぼされてみんなに繋がるご先祖様が殺されていたとしたら自分の存在はなかったのです。文化を創り、命がけで国を守るために戦ってくれたご先祖様のおかげで自分がいるんだなということが分かりますよね。
皆さんも生活の中でいろいろな選択をしています。同じように、皆さんのお父さんやお母さんはもちろん、国を治める偉い人もそうですし、多くの判断をたくさんしています。これを歴史の勉強をする時にいろいろと考えてみるのです。そうすれば、歴史は現在の私たちににつながる大切なストーリーということができますよね!
最後に
今回は歴史の勉強を始めるにあたって、歴史は自分につながるストーリーなんだよということを知ってもらいたくてこんなコンテンツを作ってみました。自分のご先祖様が何人いるのかなんて入試には出ないですし、中間テストや期末テストにもおそらく出ません。しかし、歴史を単なる暗記物として捉えてしまっては面白くないですし、暗記ゲームになってしまいます。歴史を学ぶ面白さを知ってもらった方がかえって頭の中にも残ります。
歴史を自分の問題として考えてみる!
そんな気持ちで歴史の勉強に取り組んでもらえるとよいかなと思います。
最後に、このコンテンツは齋藤武夫先生の「授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業」の内容を参考に作成いたしました。心からありがとうございます。