歴史を学ぶ前に… – 命のバトン、国づくりのバトンをつなごう

命のバトンと国づくりのバトン 歴史の勉強法
命のバトンと国づくりのバトン
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執筆者:加代 昌広かしろ まさひろ (KÁSHIRO Masahiro)

みなさん、歴史の勉強と聞いて、まず思い浮かべるのは「年号を覚えること」や「歴史用語を覚えること」でしょうか?

確かに、中学入試や高校入試や大学入試でよい点数を取るためにはこれらのことが必要です。しかし、これをひたすら暗記するだけでは、歴史が面白く感じられないのは当然です。たとえば、スマートフォンの電話帳の電話番号を五十音順に覚えることを想像してみてください。おそらく、それが楽しいと思う人は少ないでしょう。

でも、勉強は楽しんでこそ力がつくものです。楽しくないと、勉強そのものを続けるのが辛くなりますよね。

では、どうすれば歴史の勉強が楽しくなるのでしょうか?

答えは簡単です。「我が事(=自分のこと)」として考えることです。

皆さん、自分に関係することには自然と関心が湧くものですよね。歴史も同じです。他人のストーリーとしてではなく、「自分のストーリー」として捉えてみてください。

歴史は英語で「history(ヒストリー)」と言いますが、これは「his story」、つまり「彼の物語」を意味します。しかし、これは他人の物語ではなく、私たち自身の物語です。私たちのご先祖さまが作り上げてきた物語が、脈々と今の私たちに受け継がれているのです。だからこそ、歴史は「他人事」ではなく「我が事」なのです。

私たちには、次の世代に素晴らしい国を伝えていく責任があります。「歴史」を学ぶことは、ご先祖さまが行ってきた「命のバトン」「国づくりのバトン」を引き継いできた内容を学ぶことであり、それを未来の子孫たちに渡すための知恵を得ることでもあります。

今回の授業では、その手始めとして、「私たちのご先祖さまがどれぐらいいるのか?」を考えるコンテンツを用意しました。自分たちのルーツを知ることで、歴史がいかに自分たちに関わっているかを実感してもらえるでしょう。

一緒に、自分たちの物語を発見していきましょう!

なお、このコンテンツは、授業づくりJAPAN 「日本が好きになる!歴史全授業」の齋藤武夫先生の授業内容を参考に作成いたしました。

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命のバトン – ご先祖さまからつながる私たちの命

自分は誰から生まれた?お父さんやお母さんは誰から生まれた? – 命のバトンを引き継ぐにはどれだけの人が必要なのだろうか?

ボクたち一人一人の存在は、数え切れないほどのご先祖さまが命を繋いできたくれた結果です。

「ボクたちはどうやって生まれてきているのか?」というと、自分のお父さんとお母さんがいなければ生まれてきていないはずです。今の自分はお父さんとお母さんが必要なので、少なくとも2人の人間が必要だということになりますね。

では「お父さんやお母さんはどうやって生まれたのか?」というと、そのまたお父さんとお母さん。キミたちから見たらおじいちゃんやおばあちゃんということになりますね。ではおじいちゃんやおばあちゃんは何人いるのかと言ったら4人ですね。

じゃぁ今度はおじいちゃんとおばあちゃんは誰から生まれたのかと言ったら、そのまたお父さんとお母さん…。4人のおじいちゃんとおばあちゃんには両親がいますから8人…。これを続けていくと、ご先祖様の人数は下のような表になっていきます。1世代は30年として計算しています。したがって、これを基準に計算すると、だいたいどの時代に自分のご先祖さまが何人いるのかが分かります。

時代西暦ご先祖様の人数
令和2020年1
1世代前平成1990年2
2世代前昭和1960年4
3世代前昭和1930年8
4世代前明治1900年16
5世代前明治1870年32
6世代前江戸1840年64
7世代前江戸1810年128
8世代前江戸1780年256
9世代前江戸1750年512
10世代前江戸1720年1,024
11世代前江戸1690年2,048
12世代前江戸1660年4,096
13世代前江戸1630年8,192
14世代前安土桃山1600年16,384
15世代前室町1570年32,768
16世代前室町1540年65,536
17世代前室町1510年131,072
18世代前室町1480年262,144
19世代前室町1450年524,288
20世代前室町1420年1,048,576
21世代前室町1390年2,097,152
22世代前室町1360年4,194,304
23世代前鎌倉1330年8,388,608
24世代前鎌倉1300年16,777,216
25世代前鎌倉1270年33,554,432
26世代前鎌倉1240年67,108,864
27世代前鎌倉1210年134,217,728
28世代前平安1180年268,435,456
29世代前平安1150年536,870,912
30世代前平安1120年1,073,741,824
31世代前平安1090年2,147,483,648
32世代前平安1060年4,294,967,296
33世代前平安1030年8,589,934,592
34世代前平安1000年17,179,869,184
35世代前平安970年34,359,738,368
36世代前平安940年68,719,476,736
37世代前平安910年137,438,953,472
38世代前平安880年274,877,906,944
39世代前平安850年549,755,813,888
40世代前平安820年1,099,511,627,776
41世代前平安790年2,199,023,255,552
42世代前奈良760年4,398,046,511,104
43世代前奈良730年8,796,093,022,208
44世代前飛鳥700年17,592,186,044,416
45世代前飛鳥670年35,184,372,088,832
46世代前飛鳥640年70,368,744,177,664
47世代前飛鳥610年140,737,488,355,328
ご先祖様の人数を数えてみた!

こんな感じで「倍々ゲーム」でご先祖さまの人数は増えていきます。織田信長が活躍していた戦国時代から安土桃山時代にキミのご先祖さまは32,768人いるということになります。聖徳太子が生きていた頃となると、140,737,488,355,328人のご先祖様がいることになる…。

ここで気づいていただきたいのですが、140,737,488,355,328人のご先祖様のうち1人でも欠けたら今の自分はココにいなかったということなんですね

そして自分もまた誰かの先祖になっていく…

ボクたちはこうやって命のバトンを受け継いでいるのです。皆さんの周囲にいる友人も同僚も先輩も後輩も、みんな同じように命のバトンを受け継いでいるのです。だから皆さん一人一人の存在自体が尊いのです。

ボクらの命は奇跡的に繋がっていることを示しています。

昔の方が人口が少なかったのにどうしてご先祖さまの数が多いのはどうして?

こうやって考えると、「昔の方が人口が多かったの?」

と感じる人もいると思います。聖徳太子の時代の我々のご先祖さまの人数は140京以上いらっしゃいますからね。

では、実際に「昔の方が人口が多かったのか?」という疑問に答えると、そうではありません。

内閣府が出した「平成16年版 少子化社会白書」を引用すると、以下の内容が書かれています。

縄文時代には約10万人~約26万人であり、弥生時代には約60万人であった。奈良時代には約450万人、平安時代(西暦900年)には約550万人となり、慶長時代(西暦1600年)には約1,220万人となった。江戸時代には17世紀に人口が増加し、18世紀には停滞して、おおむね3,100万人から3,300万人台で推移した。

「平成16年版 少子化社会白書」第1部 少子社会の到来とその影響 / 第1章 少子化の現状はどのようになっているのか / 第1節 日本の人口の変化より https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2004/html_h/index.html

奈良時代にいた自分のご先祖様の人数が8兆7960億9302万2208人に対して、内閣府の資料を見ると奈良時代の人口は実際には約450万人です。どちらも正しい数字なのですが、矛盾があるわけです。

ではどうしてこんなことが起こっているのでしょうか?

それはボクたちのご先祖様のほとんどが重なっているのです。だから、実は自分の友達とはずっと昔のご先祖さまと実は親戚だった!?ということだってあり得ます!

そういう意味でもボクらの周りの人間関係もまた奇跡的に繋がっていることを示しています。

私たちは、ご先祖さまから受け継いだ「いのち」をいただいて存在するのです。

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国づくりだってバトンを受け継いでいる

日本の歴史の独自性

日本の歴史は、世界の中でも特異な存在です。

日本列島は1万年以上前から存在し、その間に民族の大移動や外国からの征服をほとんど経験していません。縄文時代になって日本は大陸から離れて島国になりました。大陸の国ほど民族の出入りは激しくありません。ですから、自分のご先祖さまを遡っていくと隣にいる日本人と「実は遠いところでは共通のご先祖さまでした!」といった可能性は十分に起こりうるわけです。

「日本書紀」という我が国の正史(正式な歴史書)によれば、我が国は初代天皇の神武天皇が即位されてから、公称では2684年間、滅びることなく天皇陛下が治める国として続いてきたのです。

国づくりのバトンの継承

私たちのご先祖さまは、力を合わせて日本という国を作り、守り、発展させてきました。

たとえば、明治時代には近代化を進め、第二次世界大戦後には復興と経済成長を成し遂げました。

現代の日本が享受している繁栄は、過去の歴史の積み重ねによるものです。私たちのご先祖さまは、時には戦争や災害を乗り越え、時には改革や進歩を遂げながら、日本という国を築いてきました。私たちは、その努力と犠牲の上に立っています。

「命のバトン」の話と絡めると、文化を創り、命がけで国を守るために戦ってくれたご先祖さまのおかげで自分がいるんだなということが分かりますよね。

この事実を理解し、先祖たちに感謝の気持ちを持つことが重要です。

皆さんも生活の中でいろいろな選択をしています。同じように、皆さんのお父さんやお母さんはもちろん、国を治める偉い人もそうですし、多くの判断をたくさんしています。これを歴史の勉強をする時にいろいろと考えてみるのです。そうすれば、歴史は現在の私たちににつながる大切なストーリーということができますよね!

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歴史を学ぶ意義

「我が事」として歴史を学ぼう!

歴史を学ぶことは、他人事ではなく自分の事として学ぶことです。

どの時代にも自分の先祖がいたことを想像し、それぞれの時代の先祖と自分がつながっていることを感じることが大切です。例えば、平安時代の貴族の生活や、戦国時代の武士の生き様を知ることで、彼らがどのような困難に直面し、それをどのように克服したのかを理解できます。

ご先祖さまへの感謝の気持ちを持とう!

命と歴史をつないだ先祖への感謝に気づくことも重要です。

歴史を学ぶことで、私たちがここに存在することの意味を深く理解できるようになります。先祖たちの努力と犠牲がなければ、今の私たちは存在しないのです。そのことを心に刻み、感謝の念を抱くことが、歴史を学ぶ真の意義です。

日本の未来を作るために

歴史を学ぶのは、国づくりのバトンをつなぐためです。自分がこれからの日本を作っていくという意識を持ちましょう。例えば、過去の歴史から学び、現在の社会問題に対処するための知恵や視点を得ることができます。過去の失敗を繰り返さないために、歴史から教訓を得ることは極めて重要です。日本まほろば社会科研究室のコンテンツは、皆さんが国のリーダーの立場になって二者択一の政策選択を行ってもらう仕掛けをたくさん用意しています。過去のリーダーの経験を追体験してもらうことで、歴史が「他人事」ではなくなります。淡々と起こってきた事実を勉強するだけでは面白くありませんね。大学で勉強する歴史学は客観的な事実を見ていくことが重視されますが、いきなり客観的な事実を淡々と見てそれを暗記するだけでは面白くもないですね。

そして、過去の歴史的事実を追体験してもらうことでご先祖さまの知恵を学び、自分たちの世代で大切にしてきた我が国をよりよくして「命のバトン」や「国づくりのバトン」をボクらの子孫に引き継いでいけるようにしたいものです。

まとめ

私たちが学ぶ日本の歴史は、単なる過去の出来事の積み重ねではありません。それは、無数のご先祖さまたちの命と努力、そして希望と夢が繋がってできた壮大な物語です。

この物語を理解し、未来に向けて新たな章を綴っていくのは、私たち一人一人の役割です。歴史の学びを通じて、皆さんがその一翼を担う存在として成長することを心から願っています。

齋藤武夫先生の授業の様子がわかる書籍を紹介します。歴史の専門知識は必要なく、子どもたちの活発な様子が伝わる素敵な本です!

齋藤武夫先生ブログ

執筆者:

KÁSHIRO Masahiro

日本まほろば社会科研究室客員研究員
日本スペイン法研究会会員
ブロガー、インスタグラマー、音楽家、授業をしない大手学習塾の校舎長
 
共著(日本スペイン法研究会の一員として)で、「現代スペイン法入門」(嵯峨野書院)と「Introducción al Derecho Japonés actual」(Editorial Thomson Reuters – Aranzadi)の一部を執筆。他にも、日本まほろば社会科研究室サイト内で、小学校や中学校や高校での社会科教育で役立つ多くのコンテンツを執筆(コンテンツはリンク先を参照)。
 
X JAPANやThe Last Rockstarsのリーダーとして活躍されているYOSHIKIさんのファンでもある。

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