今回は、古事記や日本書紀に載っている「天地初発(てんちしょはつ)」「天地開闢(てんちかいびゃく)」についてわかりやすく解説していきます。
神様の名前を欲張って覚える必要はありません。大切な言葉については丁寧に解説しています。覚えてほしい神様については強調してあるので、そこだけ覚えてくれたらよいです。
今回のポイントは、日本の神話に出てくる神様はどのようにお成りになっているのか?という観点を持って読んでほしい点です。
まほろば社会科研究室の日本神話に関する記述は大雑把なものなので、くわしく「古事記」や「日本書紀」について勉強してみたいという人は、別で本を読んでみることをオススメします。
天地初発の際に生まれた神様 – 別天神
「古事記」の冒頭の文章です。
天地(あめつち)の初発(はじめ)の時、高天原(たかまのはら)に成りませる神の名は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、次に高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、次に神産巣日神(かみむすびのかみ)。此の三柱(みはしら)の神は、並びに独神(ひとりがみ)と成り坐(ま)して、身を隠したまひき。
「古事記」上巻(かみつまき)
この場面は、古事記の一番最初の「天地(あめつち)の初発(はじめ)の時」の文字をとって、一般的に「天地初発(てんちしょはつ)」と言います。
天地が初めて生まれたときに最初に生まれた神様は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)と仰います。ポイントは、キリスト教の「旧約聖書」のように神様が宇宙を作っているわけではないということです。宇宙空間があってそこで神様が成ったと書いてあるのです。どうやって宇宙が誕生したのか?については「古事記」には一切の記載がありません。
天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)の次に成ったになった神様は高御産巣日神(たかみむすひのかみ)。次にお生まれになったのは神産巣日神(かみむすひのかみ)と仰います。神様のことは柱(はしら)という単位で呼びます。3柱の神様はすぐに御身をお隠しになりました。
神様がお生まれになった場所について、高天原と書いてあります。「たかまのはら」とふりがなが振ってありますが、「たかまがはら」と呼んだりもします。ただ、この言葉は「古事記」の神話を理解するのに大切な舞台の1つになるので、神様が住んでいらっしゃる場所であることは頭に入れておきましょう。
3柱の神様が成った後、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)が成り、続いて天之常立神(あまのとこたちのかみ)が成りました。この神様も性別のない独神(ひとりがみ)でした。
天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、神産巣日神(かみむすびのかみ)、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)及び天之常立神(あまのとこたちのかみ)は、天地が発れて早い時期に成った特別な5柱の神様ということで、別天神(ことあまつかみ)と呼んでいます。
神世七代が成る
その後、次々と神様が成ります。
- 国之常立神(くにのとこたちのかみ)
- 豊雲野神(とよくもののかみ)
- 宇比地迩神(うひじにのかみ)/ 須比智邇神(すひちにのかみ)
- 角杙神(つのぐいのかみ) / 活杙神(いくぐいのかみ)
- 意富斗能地神(おおとのじのかみ) / 大斗乃弁神(おおとのべのかみ)
- 於母陀流神(おもだるのかみ)/ 阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)
- 伊耶那岐神(いざなぎのかみ) / 伊耶那美神(いざなみのかみ)
宇比地迩神(うひじにのかみ)と須比智邇神(すひちにのかみ)以降の10柱の神様は男神(おがみ)と女神(めがみ)で対になっておいでで、2柱で1代(よ)とカウントされます。
最後に成った伊耶那岐神(いざなぎのかみ)と 伊耶那美神(いざなみのかみ)は、日本列島をお生みになる重要な神様です。次の物語で登場します。
ここに述べた7代の神のことを「神代七代(かみのよななよ)」と呼びます。
次の物語(神話)は以下のリンク先に進んでください。