今回は、日本国憲法第52条、第53条及び54条の条文の穴埋め問題を解きながら、「国会の会期とは何か?」についてわかりやすく解説していきます。
憲法条文穴埋め問題解説シリーズは、試験でよく出そうな日本国憲法の条文を解説するシリーズです。
まずは問いに答えて、それから解説を読みます。さらに、発展的な内容については<発展>という項目で解説を試みます。社会科が苦手だなと思う人は<解説>まで。得意だという人は<発展>まで読んでみてください。
復習は、条文を音読し、間違えた場合は正解を覚えましょう。空欄のまま条文が読めるようになれば合格です。
日本国憲法条文(52条・53条・54条)穴埋め問題
日本国憲法第52条条文穴埋め問題
<問い>
第五十二条
国会の常会は、毎年( )これを召集する。
日本国憲法第53条条文穴埋め問題
第五十三条
( )は、国会の臨時会の召集を決定することができる。( )の( )の( )の( )以上の要求があれば、( )は、その召集を決定しなければならない。
日本国憲法第54条条文穴埋め問題
第五十四条
- ( )が解散されたときは、( )の日から( )以内に、( )を行ひ、その( )から( )以内に、国会を召集しなければならない。
- ( )が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の( )を求めることができる。
- 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
日本国憲法条文穴埋め問題(解答)
日本国憲法第52条条文穴埋め問題の解答
第五十二条
国会の常会は、毎年一回これを召集する。
日本国憲法第53条条文穴埋め問題の解答
第五十三条
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
日本国憲法第54条条文穴埋め問題の解答
第五十四条
- 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
- 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
- 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
日本国憲法条文(52条・53条・54条)解説
統治機構の条文を見る際の前提
統治機構の勉強をする場合には全体像を把握しながら学習をしていきましょう。
権力分立の話をする場合、必ず上の図が頭に入っていなければなりません。「権力者」の中の話をしているのだという前提が必要です。
その上で、「国会」「内閣」及び「裁判所」の条文や制度を勉強する場合には、必ず「権力分立」の図を頭に置きながら、どこの機関の何の話をしているのかを全体像を見ながら勉強してください。これは「国会」「内閣」及び「裁判所」を勉強するときの地図のようなものだと思ってください。
国会の会期には3種類ある
国会の会期には3種類あります。こういうものはまず数を覚えてから内容を覚えていくのがコツです。
- 常会(通常国会)
- 臨時会(臨時国会)
- 特別会(特別国会)
これに、衆議院が解散されたときに、内閣が国に緊急の必要があるときに召集される参議院の緊急集会があります。なお、緊急集会は会期ではありません。
以下、もう少しくわしく解説します。
常会(通常国会)(憲法第52条について)
常会(通常国会)は、年に1回召集されます。
会期は国会法第10条で150日と規定されています。
召集の時期は、国会法第2条に「毎年1月中に召集するのを常例とする」と書いてあります。
日本では、「会期不継続の原則」を採用しています。会期が終わると、会期中に議決に至らなかった議案は次の国会に継続して議論されないということです。会期中に審理を重ねても結論が出ないものは、いったん廃案にしてもう1回出直してこいということです。例外はここでは触れません。
臨時会(臨時国会)(憲法第53条について)
まずは、臨時会(臨時国会)が召集されるケースを3パターン挙げます。
- 内閣が必要とするとき(憲法第53条前段)
- いずれかの議院の4分の1以上の要求があったとき。このケースは内閣は臨時会を開かなければならない。(憲法第53条後段)
- 衆議院議員の任期満了による総選挙(国会法第2条の3第1項)又は参議院議員の通常選挙が行われたとき(国会法第2条の3第2項)
特別会(特別国会)(憲法第54条第1項について)
特別会は、衆議院の解散による総選挙が行われた後、30日後に開かれる国会の会期です。
国会法第2条の2には「特別会は、常会と併せてこれを召集することができる」という規定がありますが、特別会が開かれる時期が1月になる場合には同時に召集ができるのだということです。ちょっとこれは細かすぎです。
参議院の緊急集会について(憲法第54条第2項及び第3項について)
衆議院が解散されると、参議院も閉会となる。
コレが原則です。
しかし、国に緊急の必要があるときは、内閣は参議院の緊急集会を求めることができます。主語が急所です。任期満了によって衆議院の総選挙が実施されている場合は緊急集会は開けません。衆議院の解散時の話だという点も急所です。
内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から緊急集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければなりません(国会法第99条第1項)。参議院議員は、内閣総理大臣から示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができます(国会法第102条)。
緊急集会で審理されるものは通常よりも制限的でなければならず、憲法改正の発議や内閣総理大臣の指名など衆議院と参議院の両院が揃っていた方が望ましいものについては、審理することはできないと解されています。
緊急集会は会期ではありません。すると、憲法第50条の会期中の不逮捕特権と関連させると、緊急集会時の参議院議員には不逮捕特権がないという結論になりそうです。しかし、衆議院が解散している状況の中で審議を行ってくれているわけなので、不逮捕特権がないというのはおかしな結論になってしまいます。そこで、国会法第100条第1項において、緊急集会時の参議院議員にも不逮捕特権を及ぶようにしています。
緊急集会において採られた措置は臨時のものなので、次の国会開会の後10日以内に衆議院の同意がない場合にはその効力は失われます。さかのぼって効力が失われるのではなく、同意がなかった時点から効力が失われます。