日本国憲法第49条、50条及び51条について - 国会議員の特権 はなぜあるの?

日本国憲法条文シリーズ 日本国憲法穴埋め問題条文解説シリーズ
日本国憲法条文シリーズ
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今回は、日本国憲法第49条、第50条及び第51条の条文について、穴埋め問題を解きながら「国会議員の特権」について解説をしていきます。

憲法の条文や国会法の条文を使って内容を整理した上で、なぜ国会議員にはそのような特権が存在するのかについてもそれぞれの条文についてわかりやすく解説しました。なお、判例は扱っていません。

憲法条文穴埋め問題解説シリーズは、試験でよく出そうな日本国憲法の条文を解説するシリーズです。

まずは問いに答えて、それから解説を読みます。さらに、発展的な内容については<発展>という項目で解説を試みます。社会科が苦手だなと思う人は<解説>まで。得意だという人は<発展>まで読んでみてください。

復習は、条文を音読し、間違えた場合は正解を覚えましょう。空欄のまま条文が読めるようになれば合格です。

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日本国憲法条文穴埋め問題

日本国憲法第49条

 (  )は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

日本国憲法第50条

 (  )は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

日本国憲法第51条

 (  )は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

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日本国憲法条文解答

日本国憲法第49条

第四十九条
 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

日本国憲法第50条

第五十条
 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

日本国憲法第51条

第五十一条
 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

日本国憲法第49条、第50条及び第51条の解説

統治機構の条文を見る際の前提

統治機構の勉強をする場合には全体像を把握しながら学習をしていきましょう。

日本型統治の図

権力分立の話をする場合、必ず上の図が頭に入っていなければなりません。「権力者」の中の話をしているのだという前提が必要です。日本型統治のありかた「シラス政治」の解説は別のコンテンツにあるので参照してください。日本の教科書からはほぼ抹殺されていますが、とても大切な考え方です。

その上で、「国会」「内閣」及び「裁判所」の条文や制度を勉強する場合には、必ず「権力分立」の図を頭に置きながら、どこの機関の何の話をしているのかを全体像を見ながら勉強してください。これは「国会」「内閣」及び「裁判所」を勉強するときの地図のようなものだと思ってください。

日本の三権分立について
日本の権力分立について

日本国憲法第49条、50条及び51条の解説

日本国憲法第4章の「国会」の規定は、主語が大切です。「国会」なのか「議院」なのか「議員」なのかの区別は明確に付ける必要があります。

49条、50条及び51条はいずれも衆議院も参議院の両方の議員に認められた権利及び義務です。

日本国憲法第49条について

国会議員は国庫から相当額の歳費を支給されます。歳費というのは、国会議員から受け取るお給料だと考えてください。

これは議員の活動を守るためのものです。一生懸命国のために働こうと志したのに、もしも国会議員の活動がボランティアだったら国会議員になろうという人はよほどの金持ちしかいなくなってしまいます。議員になって歳費をもらえるようにしたのはこういう理由があります。

ちなみに、みなさんお金の話が好きだと思うので、国会議員がどれぐらい歳費を受け取っているのか興味があると思います。「国会議員の歳費、旅費及び手当て等に関する法律」に定めがあります。

第一条
 各議院の議長は二百十七万円を、副議長は百五十八万四千円を、議員は百二十九万四千円を、それぞれ歳費月額として受ける。

「国会議員の歳費、旅費及び手当て等に関する法律」第1条

もちろん国会議員は国のために働く人たちなので、歳費を目的に国会議員になろうなんてことはあってはいけませんね。

なお、日本国憲法79条6項や日本国憲法80条2項には裁判官の報酬についての規定が存在しますが、こちらには「この報酬は、在任中、これを減額することができない。」という文言が憲法上に存在します。国会議員については歳費減額禁止規定が存在しません。

裁判官の減額保障規定については、以下のコンテンツをご覧ください。

日本国憲法第50条について

日本国憲法第50条は文章が入り組んでいるので、読みやすいように少し文を改めると、

  1. 両議院の議員は、国会の会期逮捕されない。
  2. 国会の会期中に逮捕される場合は法律(国会法第33条)がこれを定める。
  3. 会期に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中その議員を釈放しなければならない。

ということです。

この条文の趣旨は、不当な逮捕によって議員の身柄が拘束されて議員の活動が妨げられるのを防ごうということです。

国会の会期中なのに逮捕される「法律が定める」場合とは次の2つです(国会法第33条)。

  1. 院外における現行犯逮捕
  2. 議員の所属する議院が許諾した(許した)場合

1.については、不当な逮捕がなされる可能性が低いという理由から、2.については議院の許しがある以上は不当な逮捕とはいえないため、例外とされています。

日本国憲法第51条について

 51条は、活発な議論を国会で行えるようにという方向性で定められたものです。

条文中の「議院で行つた」というのは、議員が議員としての職務として行ったという意味です。なので、会期中の行為だけでなく会期外の行為も含まれます。

条文で述べられている「責任」というのは、一般国民であれば負う法的な責任のことを指します。例えば、国会の審議中にある国会議員の発言した内容で名誉が傷つけられたからと言って損害賠償を請求されたり、名誉毀損罪(刑法第230条)に問われたりすることはないということです。

また、国会議員は大臣を兼ねることがありますが、大臣として発言したものについては責任を負いますので注意が必要です。

 

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