「ポツダム宣言」第2項の内容を和訳してみた! – 連合国軍迫る!?

ポツダム宣言現代語訳をしてみました 「ポツダム宣言」全文試訳
ポツダム宣言現代語訳をしてみました
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執筆 & 訳: 加代 昌広かしろ まさひろ(KÁSHIRO Masahiro)

ポツダム宣言の全文の内容を和訳してみるシリーズです。

今回はポツダム宣言の第2項を和訳してみます。構成は、英文、公式邦訳、試訳とその解説の順になっています。

なお、ポツダム宣言が作成された背景については、「ポツダム宣言の全文をわかりやすく解説してみました」というコンテンツでくわしく解説しましたので、そちらをご覧下さい。

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英文

(2) The prodigious land, sea and air forces of the United States, the British Empire and of China, many times reinforced by their armies and air fleets from the west, are poised to strike the final blows upon Japan. This military power is sustained and inspired by the determination of all the Allied Nations to prosecute the war against Japan until she ceases to resist.

公式邦訳

二、合衆国、英帝国及中華民国ノ巨大ナル陸、海、空軍ハ西方ヨリ自国ノ陸軍及空軍ニ依ル数倍ノ増強ヲ受ケ日本国ニ対シ最後的打撃ヲ加フルノ態勢ヲ整ヘタリ
右軍事力ハ日本国カ抵抗ヲ終止スルニ至ル迄同国ニ対シ戦争ヲ遂行スルノ一切ノ連合国ノ決意ニ依リ支持セラレ且鼓舞セラレ居ルモノナリ

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解説

The prodigious land, sea and air forces of the United States, the British Empire and of China, many times reinforced by their armies and air fleets from the west, are poised to strike the final blows upon Japan.

the prodigious land, sea and air forcesで、「巨大な陸海空軍」と訳すのがよいです。prodigiousというのは「巨大な」という形容詞。これは大学入試レベルを超えた単語で、おそらくCEFR (Common European Framework of Reference for Languages)のC2程度の高度な単語です。ポジティブな意味で「非常に大きい」というニュアンスが出ています。of以下は、「アメリカ、英帝国(British Empire)及び中華民国の」と訳せばよいです。many timesは倍数表現で「数倍も」という意味。reinforceは「増強する」という意味です。これは大学入試レベルの単語帳の中盤から後半にかけてのページに出るレベルの単語で、CEFRのB2程度のレベルの単語です。したがって、reinforced by…という部分は「~によって何倍も増強され」と訳しておきましょう。

続いてby以下を見ていきます。このbyは「増強する」動作主を表すbyです。内容を見ていきましょう。their armies and air fleets from the westの部分は「西方からの陸軍及び空軍」という訳を充てておくのがよいです。armiesのようにarmyが複数形になっているのと後ろにfleetsという言葉が来ているので、armiesを軍隊と訳すよりは「陸軍」と訳しておく方が自然だと思います(公式邦訳もそうなっています)。fleetは一般的には艦隊や一連の車両・航空機を指しますが、こういう場合には「空軍」と訳します。fleetはCEFRでB2レベルの単語ですが、ちょっと専門的な単語だと思います。

are poised to Vで「Vする用意ができている、Vする態勢が整っている」というイディオムです。CEFRのレベルで見るとB2以上のイディオムで、フォーマルな文で使用される表現です。strike the final blows upon Japanで、「日本に対して最終的な打撃を加える」という意味になります。

ではこの1文をまとめてみましょう。

アメリカ合衆国、英帝国及び中華民国の巨大な陸海空軍は、西方からの陸空軍によって何倍にも増強され、日本に対して最終的な打撃を加える態勢を整えています。

ちなみに、ここでいう試訳の「西方からの陸空軍によって何倍にも増強され、日本に対して最終的な打撃を加える態勢を整えています」の部分について解説を加えておきます。

「ポツダム宣言」が発効された「ポツダム会談」が行われたのは西暦1945年7月でした。この頃には日本と同じ枢軸国すうじくこく側で戦っていたドイツが連合国に降伏をしています(西暦1945年5月)。イタリアはすでに降伏しており、ヨーロッパでの戦いは一段落していました。したがって、ヨーロッパに投入していたその兵力を「日本に差し向けるぞ!」という意味だと解釈すると分かりやすいです。

This military power is sustained and inspired by the determination of all the Allied Nations to prosecute the war against Japan until she ceases to resist.

次の文。This military power is sustained and inspiredの部分は、「この軍事力は維持され鼓舞されています」と訳しておけばよいでしょう。

by以下を見ていきます。the determinationは「決意」。all the Allied Nationsは「全ての連合国」という意味です。ここで不定詞でさらに修飾語句が繋がっていきます。prosecuteは「遂行する」という意味の動詞。CEFRレベルではB2相当。日常会話ではそれほど頻繁に使われる単語ではありませんが、ニュース記事や法廷ドラマ、ビジネスの文脈などでよく見られる表現です。したがって、prosecute the war against Japanで「日本に対する戦争を遂行する」という意味になります。

次にuntil she ceases to resistの部分。sheはJapanを指します。sheは「国」を受ける代名詞として使うことができます。cease to Vで「Vすることをやめる」という大学入試の英語でもよく出てくるイディオム。resistは「抵抗する」という意味。したがって、「日本が抵抗を止めるまで」という意味になります。

この文の解釈をまとめてみましょう。

日本が抵抗を止めるまで、日本に対する戦争を遂行する連合国の総意によって、この軍事力は維持され、鼓舞されています。

まとめ

それでは最後に2つの文をくっつけてまとめてみましょう!

アメリカ合衆国、英帝国及び中華民国の巨大な陸海空軍は、西方からの陸空軍によって何倍にも増強され、日本に対して最終的な打撃を加える態勢を整えています。日本が抵抗を止めるまで、日本に対する戦争を遂行する連合国の総意によって、この軍事力は維持され、鼓舞されています。

という意味になります。

今回の条文は文構造はそんなに複雑ではありませんが、英単語やイディオムがとても難しく感じました。

第3項の解説は以下のリンクから進んでください。

ポツダム宣言の第3項の条文を訳して解説してみました!
KÁSHIRO Masahiro

日本まほろば社会科研究室客員研究員
日本スペイン法研究会会員
ブロガー、インスタグラマー、音楽家、授業をしない大手学習塾の校舎長
 
共著(日本スペイン法研究会の一員として)で、「現代スペイン法入門」(嵯峨野書院)と「Introducción al Derecho Japonés actual」(Editorial Thomson Reuters – Aranzadi)の一部を執筆。他にも、日本まほろば社会科研究室サイト内で、小学校や中学校や高校での社会科教育で役立つ多くのコンテンツを執筆(コンテンツはリンク先を参照)。
 
X JAPANやThe Last Rockstarsのリーダーとして活躍されているYOSHIKIさんのファンでもある。

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