ポツダム宣言の全文の内容を和訳してみました – 第1項

ポツダム宣言現代語訳をしてみました 「ポツダム宣言」全文試訳
ポツダム宣言現代語訳をしてみました
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執筆 & 訳: 加代 昌広かしろ まさひろ(KÁSHIRO Masahiro)

ポツダム宣言の全文の内容を和訳してみるシリーズです。

今回はポツダム宣言の第1項を和訳してみます。構成は、英文、公式邦訳、試訳とその解説の順になっています。

なお、ポツダム宣言が作成された背景については、「ポツダム宣言の全文をわかりやすく解説してみました」というコンテンツでくわしく解説しましたので、そちらをご覧下さい。

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英文

(1) We—the President of the United States, the President of the National Government of the Republic of China, and the Prime Minister of Great Britain, representing the hundreds of millions of our countrymen, have conferred and agree that Japan shall be given an opportunity to end this war.

公式邦訳

一、吾等合衆国大統領、中華民国政府主席及「グレート・ブリテン」国総理大臣ハ吾等ノ数億ノ国民ヲ代表シ協議ノ上日本国ニ対シ今次ノ戦争ヲ終結スルノ機会ヲ与フルコトニ意見一致セリ

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解説

アメリカの大統領と中華民国政府の主席及びグレートブリテンの首相という3カ国のリーダーが文の主語に登場します。それが、We—the President of the United States, the President of the National Government of the Republic of China という部分です。

representing the hundreds of millions of our countrymenまでが挿入句です。hundreds of millionsで「数億人の」というイディオム。countrymenは辞書には「同国人」とか「同胞」といった訳語が載っています。ですから、representing the hundreds of millions of our countrymenは、「数億人の同胞を代表して」という意味になります。この挿入句は分詞構文です。文中の分詞構文は主語の情報を補足するような形で用いられるケースが多いです。

ここまでが少し長いですが、文の主部です。

have conferred and agree that S+V…の部分は、協議してきて、that以下の内容について同意すると言っています。

that節の中身を見てみます。

文構造を見ると、SVOO(第4文型)の受動態になっています。

Japan shall be given an opportunity to end this war.

「日本は与えられるものとする」と言っています。shallは聖書や法律の条文にはよく使われる助動詞なのですが、もともとある「強い意志」というところから「命令」や「義務」といった意味を持たせる場合に使います。動作主が省略されていますが、ここの「与える」のは米英中の3カ国です。では何が与えられるのかというと、「opportunity=機会」が与えられると言っています。どんな機会なのか説明がほしいところなので、それを不定詞の形容詞的用法として”to end this war”という言葉があります。endは後ろに名詞を伴っているので、ここでは「〜を終わらせる」という他動詞の意味として意味を解釈します。

that以下をまとめると、

「日本は戦争を終結させるための機会を与えられるものとする」

と言っています。

まとめ – ポツダム宣言第1項試訳

上の解釈をまとめると以下のようになります。

私たち、アメリカ合衆国大統領、中華民国政府主席及び「グレート・ブリテン」国の総理大臣は、私たちの数億の同胞を代表し、協議の上、日本国に対してこの戦争を終結するための機会を与えることに同意します。

第1項の英文解釈はこれで終わりです。

丁寧に原文を読むことは学問をやる上では基本的な作業になると思います。

続いて、第2項の解説は以下をご覧ください。

ポツダム宣言の第2項の解説をやってみました!
KÁSHIRO Masahiro

日本まほろば社会科研究室客員研究員
日本スペイン法研究会会員
ブロガー、インスタグラマー、音楽家、授業をしない大手学習塾の校舎長
 
共著(日本スペイン法研究会の一員として)で、「現代スペイン法入門」(嵯峨野書院)と「Introducción al Derecho Japonés actual」(Editorial Thomson Reuters – Aranzadi)の一部を執筆。他にも、日本まほろば社会科研究室サイト内で、小学校や中学校や高校での社会科教育で役立つ多くのコンテンツを執筆(コンテンツはリンク先を参照)。
 
X JAPANやThe Last Rockstarsのリーダーとして活躍されているYOSHIKIさんのファンでもある。

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