日本国憲法条文穴埋め問題解説 憲法第38条について – 刑事被告人の権利 (その2)

日本国憲法条文シリーズ 日本国憲法穴埋め問題条文解説シリーズ
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今回は、前回に続いて憲法第38条の穴埋め問題を解きながら、「刑事被告人の権利」についてわかりやすく解説をしていきます。

憲法条文穴埋め問題解説シリーズは、試験でよく出そうな日本国憲法の条文を解説するシリーズです。

まずは問いに答えて、それから解説を読みます。さらに、発展的な内容については<発展>という項目で解説を試みます。社会科が苦手だなと思う人は<解説>まで。得意だという人は<発展>まで読んでみてください。

復習は、条文を音読し、間違えた場合は正解を覚えましょう。空欄のまま条文が読めるようになれば合格です。

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日本国憲法第38条(穴埋め問題)

第三十八条
第1項 何人も、自己に( )( )を強要されない。
第2項 ( )( )若しくは( )による自白又は( )に長く( )若しくは( )された後の自白は、これを証拠とすることができない。
第3項 何人も、自己に( )な唯一の証拠が( )の自白である場合には、( )とされ、又は( )を科せられない。

日本国憲法第38条(解答)

第三十八条
第1項 何人も、自己に不利益供述を強要されない。
第2項 強制拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
第3項 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

日本国憲法第38条(解説)

刑事手続きの流れ

まず、この条文の意味が分かるための前提知識として、刑事手続の流れを見ておきましょう。

刑事裁判の流れ
刑事裁判の流れ

殺人や盗みなど、何らかの犯罪が発生した場合、その罪を犯した人には罪の重さに応じた適正な刑罰を科さなければならず、真の犯人に適正な科刑を行うための一連の手続が「刑事手続」です。

人権保障の観点から,真の犯人でない者に刑罰を科すことは当然許されませんし、また、権力を持った人たちが自分勝手に逮捕し刑罰を科すことも許されません。そこで、日本国憲法は、法律で定められた手続によらなければ刑罰を科すことができないと定めており(憲法31条)、これを受けて刑罰を科すための具体的な手続を刑事訴訟法(けいじそしょうほう)という法律に定めています。

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刑事手続きは、大きく捜査(そうさ)の場面と公判(こうはん)(裁判)の場面の2つに分けることができます。何らかの犯罪が発生した場合に、その犯人として捜査の対象となった者(罪を犯した疑いのある者)のことを被疑者(ひぎしゃ)と呼びます。そして、捜査(そうさ)の場面から公判(裁判)の場面へのかけ橋になるのが、起訴(きそ)と呼ばれる手続です。被疑者が起訴されると、被疑者は被告人(ひこくにん)と名前が変わります。 

憲法38条1項について

それでは憲法38条1項から解説します。これは黙秘権(もくひけん)を規定した条文だと言われています。黙秘権というのは、自白の強要を禁止することを目的とした権利のことを言います。少し説明が分かりにくいと思いますので、もう少しくわしく説明をしますと、自白というのは自己の犯罪事実を認める被疑者・被告人の発言のことを指します。それを強要するというのは、裁判官や検察官が「やったと言え!」とか「罪を認めないと拷問(ごうもん)するぞ!」といった脅し(おどし)をするような場合をイメージしてください。こういったことを強要されないための権利が黙秘権です。

憲法38条2項について

上の説明が理解できると、憲法38条2項の内容も簡単に理解できます。38条2項は、「自分の意思に基づかない自白は証拠としない」ということです。これを証拠としてしまうと、犯罪を犯していないのに犯罪を行ったとして扱われてしまう冤罪(えんざい)が起こる可能性が高くなります。これも被告人の人権を守っている条文の1つです。

憲法38条3項について

憲法38条3項は、「本人の自白だけでは有罪とされない」ということです。「自分がやりました!」と言っても、その人が犯罪をおかしたことを裏付ける証拠がなければ罰せられないと言っています。誰かに強要されて「自分がやりました!」と言っているかもしれないし、誰かをかばうために「自分がやりました!」と言っているのかもしれません。刑罰というのは国家から身体の自由を著しく拘束されるので、人権侵害になりやすいのです。刑事事件の場合、憲法では真実を暴くことで犯罪者だと疑われている人の人権をできるだけ守っていこうと考えています。罪のない人が裁かれたりしちゃうのがやっぱり怖いですからね。

まとめ

これだけ自白のことが3項にわたって書かれているのは、自白というのは有力な証拠になりうるからです。自白というのは自分で犯罪を行ったと認めることを言います。「自分でやったことを認めるのだから、犯罪だってきっとやったのだろう」と裁判官は思います。ですから、法学者の中では「自白は証拠の王様だ」と言う人もいるぐらいです。でも、これに頼るとどうなるか?検察官は証拠に基づいて犯罪の成立を証明します。検察官は証拠がほしいのです。ですから、ちょっと頑張って無理やり被疑者や被告人に言わせてしまおうと考える方もいるかもしれません。そうすると、被疑者・被告人の人権はどうなるのか?やっぱり人権は侵害されてしまいます。ですから、自白が持っている証拠としての力に制限を加えようとするわけです。その正体が憲法38条のもろもろの条文です。

中学校の教科書では教科書の後ろの方にある条文の付録に少しだけ注釈が書いてある程度であまり意味が分からないと思う人も多いと思いますが、上のような意味合いで理解してもらえれば十分だと思います。

 

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