【中学歴史・国史(日本史)】出雲神話 – 大国主神への試練&大国主神による国作り

日本の肇国を知ろう 記紀における日本の肇国
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大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)は、白兎(しろうさぎ)の危機を救い(「因幡の白兎」のエピソード)、さらにたくさんの大穴牟遅神の兄弟が八上比売(やがみひめ)に求婚していた結果、白兎の預言通りに大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)が八上比売(やがみひめ)と結ばれました。

しかし、逆恨みか、大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)の兄弟は大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)を罠にはめて殺害してしまいました。

さて、これから日本はどのように国作りが行われていくのでしょうか?

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大穴牟遅神、出雲で2回生き返る

1回目の生き返ったエピソード

大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)の死を悲しんだのは母神の刺国若比売(さしくにわかひめ)でした。刺国若比売(さしくにわかひめ)は天に昇って神産巣日之命(かむむすひのみこと)(初登場は「天地初発」の場面)のところに行って、我が子を助けてほしいとお願いしました。

すると、神産巣日神(かみむすひのかみ)は2柱の女神を地上に使いを送り、薬を大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)に塗ると、大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)はたちまち立派な男に戻り、生き返りました。

大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)、また殺される

大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)を殺したはずなのに元気にしている…

兄弟たちは驚きます。そして再び大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)に罠をしかけて殺してしまいます。

2回目の生き返ったエピソード

母神の刺国若比売(さしくにわかひめ)はまた悲しみにくれます。

今度は自分の手で大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)を生き返らせました。

このまま出雲にいたら、また兄弟に命を狙われてしまいます。そこで、刺国若比売(さしくにわかひめ)は、木国(きのくに:現在の和歌山県)の大屋毘古神(おおやびこのかみ)のもとへ人目を避けて遣わせました。

すると、またも兄弟の神が現れ、大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)の命を狙ってきました。そこで、大屋毘古神(おおやびこのかみ)は、

須佐之男命(すさのおのみこと)のところへ行きなさい。」

と言って聞かせました。大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)は須佐之男命(すさのおのみこと)のいる根之堅州国(ねのかたすくに)へ向かいました。

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須佐之男命(すさのおのみこと)からの4つの試練

大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)が根之堅州国(ねのかたすくに)に着くと、須佐之男命(すさのおのみこと)の娘の須勢理毘売(すせりびめ)と出会います。そして惹かれあい、すぐに結婚しました。

須佐之男命(すさのおのみこと)は大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)を一度ご覧になると、

「葦原色許男(あしはらしこお)だ。」

と仰いました。

ここから、大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)の試練が始まります。

1つ目の試練: 蛇の部屋で寝ろ!

須佐之男命は、大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)に「蛇の部屋」で寝る試練を与えました。

ここで、大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)の妻である須勢理毘売(すせりびめ)は蛇に襲われない方法を大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)に伝えました。大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)はその通りにすると、部屋の中にいた蛇は静まり、ぐっすりとそこで眠ることができました。

2つ目の試練: 百足(むかで)と蜂(はち)の部屋で寝ろ!

次の日の夜、須佐之男命は今度は百足(むかで)と蜂(はち)の部屋に入れられました。

けれども、ここでまた大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)の妻である須勢理毘売(すせりびめ)が百足や蜂に襲われない方法を教えました。またもや大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)はその通りにすると、部屋の中にいた百足や蜂は静まり、ぐっすりと眠ることができました。

3つ目の試練: 矢を野原から拾ってこい!

須佐之男命の大穴牟遅神に対する試練はこれにとどまりませんでした。

今度は、鳴鏑(なりかぶら)という鏑(かぶら)の付いた矢を野原に射こみ、これを拾わせるという試練を与えました。

大穴牟遅神は矢を探すために野原に入ると、須佐之男命は野原に火を付けました。すると、大穴牟遅神は火に囲まれて逃げ場を失ってしまいました。絶体絶命のピンチでした。しかし、そこに一匹のネズミが現れました。ネズミは大穴牟遅神に対して地面を踏むように言いました。大穴牟遅神は言われたように地面を踏むと、穴が開いて土の中に落ち込みました。

須佐之男命と須勢理毘売(すせりびめ)は、火に囲まれて大穴牟遅神の姿が見えなくなったので、大穴牟遅神はもう死んだのではないかと思いました。しかし、大穴牟遅神は穴の中で過ごし、火からは逃れることができました。その上、矢をちゃんと持って須佐之男命と須勢理毘売(すせりびめ)の前に戻ってきたのです。

4つ目の試練: 須佐之男命のシラミを取れ!そして…

須佐之男命のシラミをとる

実は須佐之男命による大穴牟遅神への試練はこれにとどまりませんでした。

今度は須佐之男命は大穴牟遅神を家に連れて行き、八田間大室(やたまのおおむろや)という広くて大きな部屋に入れました。そこで、自分の頭のシラミを取るように命じました。

言われるままに須佐之男命のシラミを大穴牟遅神は取ろうとしました。しかしこれが百足だったのです。ここでまたしても須勢理毘売(すせりびめ)が助け船を出しました。

「木の実を噛んでプチプチと音を立てて赤土を口に含んでからつばと一緒に吐き出しなさい。そうしたら、百足をかみ殺していると勘違いするはずです。」

大穴牟遅神は言われたとおりにしました。須佐之男命は心の中で「けなげなやつだな」と思いながら、お眠りになりました。

根之堅州国(ねのかたすくに)から脱出

ここからの大穴牟遅神の行動がスゴかった!

大穴牟遅神は須佐之男命の髪を束ねてその部屋の太い柱に結びつけ、さらに大きな岩でその部屋の出入り口を防ぎ、妻である須勢理毘売(すせりびめ)を背負って逃げました。家を出るときに、生太刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)と天の沼琴(ぬこと)を持って行こうとしました。これらは須佐之男命の武力や宗教的な権威を象徴するものでした。

逃げようとしていたところ、天の沼琴(ぬこと)の音を立ててしまいました。須佐之男命は起きてしまいました。そして大穴牟遅神と須勢理毘売を追いかけようとしました。しかし髪が柱にくくりつけられているのですぐに走り出すことはできません。須佐之男命は勢いで家を引き倒しましたが、それでも髪はほどけませんでした。その隙に2人は遠くへ逃げ去っていきました。

「生太刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)を使って、おまえの兄弟をやっつけろ!そして、おまえは大国主神(おおくにぬしのかみ)として国を作り、我が娘の須勢理毘売を正妻とせよ。そして、出雲(いずも)の山に壮大な宮殿を建てるのだ!」

須佐之男命は大穴牟遅神にそう言いました。

大穴牟遅神は出雲へ帰ると、今まで散々大穴牟遅神をいじめていた兄弟を追い詰めて倒していきました。

このようにして初めて国をお作りになりました。これが大国主神の国作りの始まりとなります。

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大国主神の国作り

大国主神は、妻の八上比売(やがみひめ)や須勢理毘売(すせりびめ)とともに、葦原中国(あしはらのなかつくに)つまり地上世界を治めていきます。大国主神は国を拡げるたびに各地の権力者の娘たちと交わり、多くの子どもを授かりました。

その中には、天照大御神系の神様である少名毘古那神(すくなびこなのかみ)もいらっしゃいました。具体的には、天地初発のところで登場なさった神産巣日神(かむむすひのかみ)の御子(みこ)でいらっしゃいます。

大国主神は、少名毘古那神(すくなびこなのかみ)とともに国作りを行いました。しかし、途中で常世国(とこよのくに)へ行ってしまいました。大国主神はお悲しみになりました。そこでこれからどうやって国作りを行ったらよいのかお悩みになりました。そうしたら海を照らしてやってくる神様から、

「私を大和国(やまとのくに)を青垣のように廻っている山の内の、東の山の上に祭りなさい。」

とお答えになりました。この神は、現在の奈良県の三輪山(みわやま)に鎮座する神となりました。

このようにして、大国主神は地上世界である葦原中国(あしはらのなかつくに)を完成させました。このような葦原中国(あしはらのなかつくに)は、神様がいらっしゃる高天原(たかまがはら)にも伝わってきます。

高天原にいらっしゃる神々はどのような対応をなさるのでしょうか?

 

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