【憲法条文シリーズ】 日本国憲法第77条について – 司法府の独立

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日本国憲法条文シリーズ
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今回は、「司法府の独立」の価値観を持っている日本国憲法の条文を見ていくことにします。

憲法条文シリーズは、試験でよく出そうな日本国憲法の条文を解説するシリーズです。

まずは問いに答えて、それから解説を読みます。

今日は穴埋め問題ではありません。なぜこのような条文が設けられているかをちょっとだけ考えてみましょう。

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日本国憲法第77条に関する問題

下の憲法の条文がなぜ定められているのかを考えなさい。

第七十七条

  1. 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
  2. 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。 
  3. 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。 


日本国憲法第77条に関する解答

国民の人権を守るため、裁判官個人だけでなく、裁判所も国会や内閣から独立することが期待されるため。

日本国憲法の中にある「司法府の独立」についての条文の解説

統治機構の条文を見る際の前提

統治機構の勉強をする場合には全体像を把握しながら学習をしていきましょう。

日本型統治の図
日本型統治のあり方

権力分立の話をする場合、必ず上の図が頭に入っていなければなりません。「権力者」の中の話をしているのだという前提が必要です。

日本型統治のありかた「シラス政治」の解説は別のコンテンツにあるので参照してください。どのような時代においても「天皇」が「権威」として存在している事実は理解しておくべきです。日本の教科書からはほぼ抹殺されていますが、とても大切な考え方です。

「シラス」と「ウシハク」について分かりやすく解説

その上で、「国会」「内閣」及び「裁判所」の条文や制度を勉強する場合には、必ず「権力分立」の図を頭に置きながら、どこの機関の何の話をしているのかを全体像を見ながら勉強してください。これは「国会」「内閣」及び「裁判所」を勉強するときの地図のようなものだと思ってください。

日本の権力分立
日本の権力分立

司法府の独立が認められる理由

裁判所という国家機関も国会や内閣からの独立が期待されています。やはり、国会や内閣というのは国民の多数派の意思にしたがって政治が進むものです。法律は国会の多数によって成立するものですからね(復習はこちら)。ですから、どうしても少数派の人たちの権利が害されやすくなってしまいます。裁判所が多数の意思が表れている国会や内閣から干渉を受けたら、こうした少数派の権利はますます侵害されてしまいます。ですから、裁判所という機関もまた国会や内閣からの独立を憲法上保障されているのです。

憲法上、こうした価値観が具体化された部分をあげてみましょう。

司法府の独立
日本国憲法における司法府の独立の条文

日本国憲法第77条第1項は最高裁判所の規則制定権の条文です。裁判所の中の細かい決まりごとについて、最高裁判所が独自に作ってもよいという条文です。これは「国会中心立法の原則」の例外の1つでした。

日本国憲法第41条について分かりやすく解説しています

要するに、裁判所の中のルールなので国会をわざわざ通さなくてもよいだろうという価値観と司法府は独立しているべきだという価値観が働いていると言われています。

また、第77条第3項もほぼ第1項と同じ価値観が働いています。すなわち、下級裁判所の中のルールは下級裁判所で決めてもよいですよということです。

最後に、日本国憲法第77条以外の条文を参考までに掲げておきましょう。

第七十八条後段
 裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

第八十条第一項
 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

ただ条文を読むのではなく、このようになぜこういう条文があるのかを理解しながら読むと、少し違った読み方ができると思います。

 

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