憲法記念日とは?: 日本国憲法の歴史と過ごし方を考える

国民の祝日シリーズ「憲法記念日」 日本の「国民の祝日」について考えるシリーズ
国民の祝日シリーズ「憲法記念日」
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執筆 & スペイン語訳: 加代 昌広かしろ まさひろ (KÁSHIRO Masahiro)

憲法記念日とは、日本における重要な祝日の一つであり、毎年5月3日に日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する日として定められています。

今回の記事は、国民の祝日を考えるシリーズとして、憲法記念日を取り上げたいと思います。

なお、この記事の作成にあたっては、渡邉尚久たかひさ校長先生の講話を参考にしています。

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歴史的背景とその意義

日本国憲法は、昭和21年(西暦1946年)11月3日の明治天皇のご辰誕に公布され、昭和22年(西暦1947年)5月3日に施行されました。「公布」というのは、成立した法律や政令を国民に周知することを指します。これに対して、「施行」はそれが実際に効力が生じることを指します。憲法記念日は、日本国憲法の施行日を記念して定められました。

日本国憲法は大日本帝国憲法を改正することによって成立しました。これは上諭と呼ばれる文章に述べられています。

朕󠄂は、日本國民の總意に基いて、新日本建󠄁設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、樞密顧󠄁問の諮󠄁詢及󠄁び帝󠄁國憲󠄁法第七十三條による帝󠄁國議會の議決を經た帝󠄁國憲󠄁法の改正を裁可し、ここにこれを公󠄁布せしめる。
御名 御璽
昭和二十一年十一月三日

日本国憲法の上諭は、形式的には公布令(明治40年勅令第6号)の第3条第1項及び第2項に基づいた文章です。現在の憲法の通説では、上諭については「憲法の一部ではないものの制定プロセスを明文化された文章である」と解されています。つまり、天皇主権であった「大日本帝国憲法」が国民主権の「日本国憲法」に変わった(「日本國民の總意に基いて」の部分)ことを示すというわけです。実は「明治憲法」が天皇主権の憲法であったという大多数の皆さんの誤解は、ここではひとまず置いておきます。

GHQによる占領中におけるこの改正は、日本の国としてのアイデンティティー、さらには国際社会における立ち位置を根本から変えるものでした。

施行から70年が経過しました。

しかし、日本国憲法は一度も改正されていません。これは、世界的に見ても非常に珍しい事例であり、憲法が現代の日本社会にどのように適用されているのか、また改正の必要性について議論を促す重要なポイントの1つです。

憲法の条文を変えないことが「護憲」という言葉で表現されていますが、憲法の条文を手続きに則って改正すれば「護憲」です。「護憲」とは「憲法を護る」ことですから、改正条項のある日本国憲法を改正手続きに則って憲法改正すれば「護憲」なはずですね。多くの専門家やメディアで使われている言葉って何かしらおかしいとは思いませんか?

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憲法記念日の過ごし方 – 外国の事例 –

ノルウェーの事例

ノルウェーのように、憲法記念日を国全体で盛大に祝う国もあります。

憲法記念日である5月17日には(ちなみに憲法制定日は西暦1814年5月17日)、家族や友人など大事な人と集まり、母国の誕生日を祝い、たくさんの美味しいものを食べて笑顔で過ごす日として過ごすのだそうです。

スペインの事例

もう1つ、スペインの例を挙げてみましょう。スペインは憲法記念日(毎年12月6日です)になると普段見ることのできない下院議事堂の内部を公開するなど特別な取り組みが国家をあげてされます。

上のスペイン下院の公式Instagramの動画の表紙に書いてあるスペイン語を訳すと、「この憲法の写しは、1978年12月27日に下院議事堂の本会議場で、国家元首が正式な制裁と公布の会議で署名したものです。」と書いてあります。ここでいう「国家元首(Jefe del Estado)」とは当時のスペイン国王のフアン・カルロス1世のことです。憲法の写しの展示も併せてされるようです。

ちなみに、国立公文書館では毎年春の大型連休の時期に日本国憲法の原本が展示されます(普段は複製)。

こうした例を参照することで、日本でも憲法記念日に対する新たな価値観や祝い方を模索することが可能です。たとえば、日本独自の文化や伝統を取り入れた憲法記念日の祝い方を提案することで、憲法への関心を高め、より多くの国民がこの日の意義を再認識するきっかけを作ることができます。

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現代における憲法の意義

現代社会において、憲法が果たす役割は非常に大きいです。憲法は国の基本的な法であり、国民の権利と義務、政府の形態と権限の分配を定めるものです。

しかし、時代の変化に伴い、憲法に新たな解釈を加えたり、改正を行う必要が出てくることもあります。世界各国の憲法改正の動向を見ることで、日本でも憲法に対する意識を新たにし、現代の価値観に即した形での憲法のあり方を考える機会を持つことが大切だと考えます。

憲法記念日のお祝いの仕方を提案します!

憲法についてディベートを行ったり集会を開いたりすることももちろん大切ですが、憲法について考える契機となるイベントを企画するのも面白いと思います。

  1. 和太鼓パフォーマンス: 憲法記念日に地域の和太鼓グループによるパフォーマンスを開催。和太鼓の迫力ある音色で、憲法の施行を祝います。
  2. 茶道体験イベント: 憲法記念日に、平和と静寂を象徴する茶道体験イベントを開催。参加者が和の心を学びながら、憲法の意義を静かに噛みしめる機会を提供します。
  3. 書道ワークショップ: 憲法の条文に関する言葉を書道で表現するワークショップ。完成した作品は地域の展示会で公開し、憲法への理解を深めます。
  4. 伝統的な日本舞踊の披露: 憲法記念日に伝統的な日本舞踊を披露し、日本の美を通じて憲法の祝賀ムードを高めます。
  5. 憲法記念日の歌合戦: 地域のアマチュアシンガーや合唱団が参加する歌合戦を開催。平和や自由をテーマにした歌を通じて、憲法記念日を祝います。
  6. 日本庭園での瞑想会: 憲法記念日に日本庭園で瞑想会を開催し、内省とともに平和の重要性を再認識する時間を持ちます。
  7. 伝統衣装での集い: 参加者が着物や浴衣を着用し、憲法記念日を祝う集いを開催。日本の伝統文化を讃えながら、憲法の精神を称えます。
  8. 憲法記念日のお茶会: お茶会を通じて、平和と寛容の精神を共有。憲法の価値と日本の伝統的なおもてなしの心を組み合わせたイベントです。
  9. 憲法記念日にちなんだ俳句大会: 憲法記念日をテーマにした俳句大会を開催し、季節の美しさや平和の価値を詠みます。

結論

日本の憲法記念日は、単に休日の一部として過ごすだけではなく、憲法の意義を改めて考え、国の未来について思索する貴重な機会です。

他国の憲法記念日の祝い方や憲法改正に関する事例を参照することで、日本でも憲法記念日をより意義深いものに変えていくことが可能です。

読者の皆様には、この記事をきっかけに日本国憲法についてもう一度考えてみていただきたいと思います。

あなたにとって憲法記念日はどのような意味を持ちますか?

そして、私たちはどのようにしてこの日をより価値あるものにしていけるでしょうか?

一緒に考えましょう!

KÁSHIRO Masahiro [加代 昌広]

日本まほろば社会科研究室客員研究員
ブロガー、インスタグラマー、日本スペイン法研究会会員
 
法学の専門知識を活かし、日本とスペインの法制度について深く研究しています。日本スペイン法研究会の一員として「現代スペイン法入門」(嵯峨野書院)や「Introducción al Derecho Japonés actual」(Editorial Thomson Reuters – Aranzadi)の一部を執筆しました。

また、日本まほろば社会科研究室」内で、小中高校生向けの社会科教育に役立つ数多くのコンテンツの制作に協力し、自らもコンテンツの執筆を行っています(コンテンツはリンクをクリック)。

自身のさまざまな経験から得た「学びの楽しさ」を、日本まほろば社会科研究室からアップロードされるコンテンツを通じて共に学びを共有する皆さまに向けて伝えることを使命としています。

X JAPANやThe Last RockstarsのリーダーであるYOSHIKIさんの熱心なファンでもあります。

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