天皇誕生日はどんな祝日なの?天皇と国民との絆を考えてみよう!

天皇と国民の絆を深める日本の伝統「天皇誕生日」をわかりやすく解説しました 日本の「国民の祝日」について考えるシリーズ
天皇と国民の絆を深める日本の伝統「天皇誕生日」をわかりやすく解説しました
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執筆:加代 昌広 (KÁSHIRO Masahiro)

この記事は、船橋市内の小学校で校長を務め、「日本が好きになる!歴史授業」のプロデューサーである渡邉尚久先生のお話や、国語WORKSの松田雄一先生の授業内容を参考に作成しました。

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天皇誕生日っていつなの?

日本には年間16の祝日がありますが、その中でも特に注目すべき祝日の1つとして、2月23日の天皇誕生日が挙げられます。

「国民の祝日に関する法律」という法律の中で、天皇誕生日については以下のような規定が存在します。

天皇誕生日 二月二十三日 天皇の誕生日を祝う。

「国民の祝日に関する法律」昭和二十三年法律第百七十八号

この日は、我が国「日本」の象徴である天皇陛下の誕生日を祝う日です。

日本国憲法第1条をわかりやすく解説します

平成31年(西暦2019年)4月30日までは現在の上皇陛下が125代目の天皇陛下であったため、12月23日が天皇誕生日でした。しかし、令和元年は5月1日から始まったため、その年の天皇誕生日は休日にならない特別な年でした。現在、2月23日は126代目の天皇陛下の誕生日となっています。

天皇誕生日の歴史

天皇誕生日の歴史はかなり古いです。

天皇誕生日は、かつて「天長節てんちょうせつ」と呼ばれていました。この名前には長い歴史と深い意味があります。

「天長節」という言葉は、中国の唐の時代に始まりました。当時の第6代目の皇帝に当たる玄宗げんそうは、最初、自身の誕生日を「千秋節せんしゅうせつ」と呼んでいました。しかし、玄宗はこれを「天長節」と改めました。この「天長」という言葉は、中国の古典『老子ろうし』にある「天長地久てんちょうちきゅう」(天は長く、地は永遠に続く)に由来し、皇帝の長寿と国家の安定を願う意味が込められています。ちなみに、皇后陛下の御誕辰たんしんを「地久ちきゅう節」と申します。「天長地久」という四字熟語は受験対策の漢字ドリルなどにも掲載されていますので、覚えておくといいでしょう。

もう1つ、ご誕辰たんしんという言葉を使いましたが、これは天皇や皇族のお誕生日を特別に尊敬を込めて表す言葉です。そのような難しい言葉を使わなくてもいいのではないか?という声も聞かれそうですが、言葉は使えば覚えられるものです。語彙は多く持っておいた方がいいに決まっています。

さて、日本では、奈良時代の第49代の光仁天皇こうにんてんのうの御代に天長節をお祝いしたという記録が残っているそうです。

明治時代になり、明治元年(西暦1868年)8月26日(太陽暦では明治元年10月11日)に、太政官布告で以下のような文章が出されました。

九月二十二日ハ聖󠄁上ノ御誕󠄂辰相當ニ付每年此辰ヲ以テ群臣ニ酺宴ヲ賜ヒ天長節󠄁御執行相成天下ノ𠛬戮被差停候偏󠄁ニ衆庶ト御慶福󠄁ヲ共ニ被遊󠄁候思召ニ候間於󠄁庶民モ一同嘉節󠄁ヲ奉祝󠄀候樣被仰出候事

明治元年八月二十六日 第679号布告

当時の天皇であった第122代の明治天皇の御誕辰ごたんしんであった9月22日を「天長節」としてお祝いすることになりました。9月22日には東京行幸の最中にお祝いがされたのだそうです。

次に、明治6年(西暦1873年)1月4日第1号の太政官布告によれば、神武天皇即位日と天長節を「国民の祝日」とすることが決定されました(国立国会図書館デジタルコレクション)。

また、明治6年(西暦1873年)に暦が太陰太陽暦から太陽暦に変更になったのを受け、御誕辰ごたんしんである天保暦の嘉永5年(西暦1852年)9月22日は11月3日と換算され、この日が天長節となりました。なお、この日は現在も「文化の日」となっています。

「文化の日=明治節=明治天皇の御誕辰」

明治天皇が崩御されると次は第123代の大正天皇が即位あそばされましたが、大正天皇の御誕辰ごたんしんは8月30日、第124代の昭和天皇は4月29日でした。天皇陛下の御代がわりに伴って「天長節」も移動しました。

大東亜戦争に敗れ、国民の祝日の在り方もGHQによる占領政策の中で変更を余儀なくされる中、「天長節」は「天皇誕生日」と名前を変えてそれを残すことができました。

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我が国「日本」は天皇と国民の紐帯によって育まれた歴史がある!

天皇陛下は、お誕生日になると必ず国民に「メッセージ」を送ってくださいます。このことは日本の国民である私たちにとってとても幸せなことです。天皇陛下は「国民のことをいつも思ってくださっている」ことを意味しているからです。

宮内庁ウェブサイトでは天皇陛下の「おことば」を拝見することができます

ただ、これは今上陛下(=現在の天皇陛下のこと)だけがなされていることではありません。今上陛下を含めた歴代の天皇陛下もまたこうした思いがあり、代々受け継がれてきたものだとされています。初代の神武天皇の「即位建都の詔」第16代仁徳天皇の時代の「民の竈」のお話などにその思想が見られますが、歴代の天皇は、我々国民のことを「大御宝おおみたから」と呼び、我が子のように大切にしてくださってきました。

歴代の天皇陛下が国民のことを思ってくださるお気持ちを受け継がれているのと同様に、我々国民も天皇陛下を敬ってきました。このようにして、日本は天皇陛下が中心となって国づくりが行われてきました。

日本型統治機構のあり方

この日本型の統治機構にも危機がおとずれたことがありました。それが先の大戦の後でした。日本は戦争に敗れ、天皇陛下(昭和天皇)が退位させられる可能性がありました。しかし、そのような中で、昭和天皇は「新日本建設の御詔勅」を渙発かんぱつされましたが、その中でも天皇と国民の紐帯の力で敗戦を乗り越えていこうと呼びかけられました。

結果として、天皇陛下のご存在は我が国に残り、現在に至ります。

今上陛下におかれましても、「水」についての問題に関心を持たれ、これを通じて人々の幸せを願われるお姿は、まさしく天皇が126代にもわたって続けられてきた祈りそのものだと言えます。

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天皇誕生日をお祝いする方法

君が代を歌おう!

「一般参賀」は昭和23年(西暦1948年)から始まった皇室行事で、一般の人が皇居(天皇のお住まい)に入り、天皇陛下をはじめ皇室に向けてお祝いの気持ちを示すことができる唯一の機会です。

天皇誕生日は一般参賀のできる機会ですので、そこで「君が代」を歌って天皇誕生日をお祝いできるといいですね。

「君が代」の歌詞をここで簡単に解説してみましょう。

君が代は 千代に八千代に さざれ石の
巌となりて 苔のむすまで

国歌「君が代」の歌詞

世界一短い歌詞(31音)の国歌です。歌詞の元になったとされる和歌は何回か変遷があるのですが、通説的には「天皇陛下におかれましては、千年も万年も長生きしてください。小さな石が大きな岩となって苔が生えるほど長く長く長生きをしてください」というとても平和的な意味合いの歌詞です。

先ほども述べたように、我が国の歴史は天皇陛下と共にありました。天皇陛下のご存在のおかげで国体は変わらず、国は比較的安定してきました。「君が代」を歌うことは我が国の繁栄を祈ることと同視できます。

ぜひ「君が代」を歌いながら天皇陛下のお誕生日を祝う日になるといいなと思います。

また、日章旗(日の丸)を自宅に掲揚するのもいいでしょう。これは国の祝日の一つとして、国としての祝賀の気持ちを表す行為です。

家族やお友達とパーティーでお祝いするのもいかがですか?

天皇への敬意を表すために、天皇や皇室の歴史や文化について学んだり、家族や友人と皇室の役割について話し合うなど、内省的な時間を持つのも1つの過ごし方かもしれませんが、我が国における天皇陛下の役割を考えつつもパーティーをして過ごすのもよいのではないかと思います。

例えば、天皇誕生日をケーキでお祝いするのもよいと思います。

また、天皇陛下に感謝する気持ちを込めて、お米やお餅を食べてお祝いするのはいかがでしょうか?

また、日本酒やワインを飲んでお祝いをするのもいいと思います。

これはこれでとても現代的でよいと思います!

天皇誕生日が素敵に楽しく過ごせる日になることを心から祈っています。

すめらみこと いやさか

国民の祝日を考えるシリーズ – 制作のねらい

日本の祝日がいくつあるのか、ご存じでしょうか?

現在、「国民の祝日に関する法律」によって年間16日の「国民の祝日」が設けられており、その日は休日になります。

この法律には国民の祝日を制定する目的が定められています。

自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。「国民の祝日に関する法律」第1条より

「祝日」が「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」であることを踏まえ、一人一人の国民が、祝日の意義を考えて、それにふさわしい1日を過ごすことができるようになりたいものです。ところが、その意味について学校で解説されることはあまり多くありません。

そこで、日本まほろば社会科研究室のウェブサイトにコンテンツを立ち上げて、1つ1つの祝日について考えてみたいと考えるようになりました。

他の祝日については、以下のリンク先に掲載されています。

「国民の祝日を考える」シリーズ
本来学校できちんと教わるべき日本の祝日の1日1日の趣旨を教わることが少ない中で、日本まほろば社会科研究室は、客員研究員の加代昌広先生と共に日本の祝日を紹介するコンテンツを制作することにしました。

 

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